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史上最多191ゴールでも「悔しい思いはずっと残る」 大久保嘉人の“ヨシメーター”はもう一度動くのか《J1ラストゲームへ》
text by

いしかわごうGo Ishikawa
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/12/03 17:05

ゴールを決めて雄叫びをあげる川崎フロンターレ時代の大久保嘉人。自身を奮い立たせるために、試合後は感情をむき出しにしていた
この話を聞くまで、ストライカーというのは、失敗など綺麗さっぱりと忘れてしまう性格なのだろうと自分は思い込んでいた。仮に決定的なシュートを10本外しても、1本を決めることができたらヒーローになれることもあるのがこのポジションの醍醐味で、そうしたメンタリティーでないと務まらないと思っていたからだ。
だがそれは違った。
少なくとも大久保嘉人は、失敗を心に深く刻み込み、その悔しさととことん向き合っていた。不安を抱え、乗り越えながらもJリーグで誰よりもゴールを奪ってきたストライカーだった。彼が揺らしてきた「191」というゴール数は、そうやって生きてきた証でもあった。
最後にもう一度“ヨシメーター”は動くのか
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かつて、川崎フロンターレの試合会場には大久保嘉人のJ1通算ゴール数を表示する“YOSHI METER”(ヨシメーター)なる巨大な横断幕が掲示されていた。
J1通算100ゴール達成を記念して製作されたもので、出現したのは2013年シーズン途中からである。大久保のゴールが決まると、サポーターが手動で素早く更新する光景はスタジアムのちょっとした名物にもなった。元ネタとなっているのは、“ICHI METER”(イチメーター)で、MLBで活躍したイチローさんの女性ファンが、彼の通算ヒット数を表示していた手作りボードだ。
今年3月、等々力競技場でのセレッソ大阪戦後、このヨシメーターはフロンターレサポーターからセレッソサポーターに継承されている。ゴール数を示す色も、青色からセレッソ大阪の桜色に仕様変更された。
今年は6つのゴールを積み上げているが、最後に更新されたのは9月の第19節・コンサドーレ札幌戦になる。あれ以来、ヨシメーターは止まったままだ。
12月4日、IAIスタジアム日本平での清水エスパルス戦。これが、幾つもの逆境に立ち向かいながら生きてきたストライカーのリーグラストゲームとなる。
最後にもう一度、ヨシメーターは動き出すだろうか。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。
