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ユナイテッドの新監督は誰に? DNAか、哲学か、超実力主義か……スールシャール解任で考える監督交代の難しさ

posted2021/11/25 17:01

 
ユナイテッドの新監督は誰に? DNAか、哲学か、超実力主義か……スールシャール解任で考える監督交代の難しさ<Number Web> photograph by Getty Images

スールシャールの解任を受け、後任人事が注目されるユナイテッド。再建を託せる人材を見出すことができるだろうか

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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 球団創設87年の歴史のなかで、読売ジャイアンツには唯一にして最大の汚点がある。

 1975年、47勝76敗7分、屈辱の最下位。セ・リーグの底に沈んだのは、後にも先にもこの1年だけだ。

“新監督”長嶋茂雄は、“選手”長嶋茂雄のいないチームを率いるには、経験が不足していた。王貞治の衰えに抗えず、左右の両エースである高橋一三、堀内恒夫の不振を補う術も持たなかった。百戦錬磨の川上哲治前監督からチームを引き継いだ長嶋は、自らと巨人の名声に泥を塗ったのである。

誰が後釜にせよ、シティには厳しい試練が訪れる

 バトンタッチのタイミングは難しい。

 いま我が世の春を謳歌しているマンチェスター・シティも、2023年6月末日の契約満了をもって、ジョゼップ・グアルディオラ監督が退任する予定だ。レスターのブレンダン・ロジャーズ監督、バルセロナの監督に就任したばかりのシャビ・エルナンデスなど、英国の一部メディアは後任探しにかまびすしい。

 誰が後釜にせよ、“アフター”グアルディオラのシティには厳しい試練が訪れる。

 リバプールも同様だ。ユルゲン・クロップ監督の就任によって名門復活に至ったものの、彼がやって来るまでは30年もトップリーグのタイトルから遠ざかっていた。30年も、である。

 2010年にリバプールを買収した『フェンウェイ・スポーツグループ』はメジャーリーグのボストン・レッドソックス、カーレースのラウシュ・フェンウェイ・レーシングなども傘下に収める、スポーツビジネスに長けた組織だ。

 とはいえ、リバプールの新監督がすぐに見つかる保証などどこにもない。クロップとの契約は2024年6月末日までだ。

 グアルディオラは、監督就任から5年で8個のタイトルを獲得している。6年目を迎えた今シーズンも、1つや2つは獲るだろう。クロップは6年でリーグとCL優勝を1回ずつ。グアルディオラには劣るが、リバプールを世界の超一流にまで仕立て直した手腕に疑いの余地はない。

ファーガソンの後任は奇妙な人選だった

 グアルディオラやクロップのサイクルでも後任を見つけることは難しいのだから、四半世紀も続いた体制のバトンタッチは信じられないほどのプレッシャーがかかり、監督交代のタイミングとしてもベストではなかった。

 例えばマンチェスター・ユナイテッドだ。アレックス・ファーガソンは27年でプレミアリーグ13回、CL2回、FAカップ5回、リーグカップ4回など、実に38回も優勝の美酒に酔いしれている。

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