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開幕前は楽天“第6の男”→2桁勝利&CS進出に貢献⋯「ポジティブではない」2年目右腕・瀧中瞭太(27)、その真骨頂とは
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKYODO
posted2021/11/02 06:00
CS進出がかかった大一番で10勝目を挙げた楽天2年目右腕・瀧中瞭太
瀧中にとって、1月の自主トレで則本に師事できたことは大きかった。体幹トレーニングといった主要どころからウォーミングアップやストレッチなど、当たり前な作業まで気を配る。長きにわたり楽天投手陣の屋台骨を支える先輩の姿勢から多くを学んだ。
「僕はあまりポジティブじゃない」
万全を期して挑めるはずだったシーズン。しかし、出だしは最悪だった。
今季初登板となった4月1日のロッテ戦で、2回途中10失点。「申し訳ないです」。もう、それしか言葉が出なかった。
次戦の西武戦では7回無失点で今季初勝利をマーク。その後も勝ち星を積み重ねられてはいたものの、瀧中がシーズン前に掲げていた「7回、8回をしっかり投げ切れるように」といった試合は少なく、前半戦は5回、6回を投げ2~3失点という内容が多かった。
瀧中が自らの心情を表す言葉は謙虚である。もしかしたら、人によってそれは、自己評価が低いようにすら思えてしまうかもしれない。なぜなら、勝っていようが負けていようが、降板後のコメントに「申し訳ない」と綴ることが多かったりと、どうしても反省や課題が目立ってしまう印象があるからだ。
「僕はあまりポジティブじゃないんで」
いつだったか、瀧中が苦笑交じりにそう言っていたことがあった。
だからといって顔色に悲愴感はない。感情をストレートに伝えることで自分を律しているような、そんな雰囲気さえ漂わせていた。
「言葉には出さないだけで、実際にそういうピッチャーって少なくないと思うんですよ。僕の場合はそれを理解した上で、マウンドでは『1球、1球、丁寧に投げていくしかないんだな』って思っているというか」