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開幕前は楽天“第6の男”→2桁勝利&CS進出に貢献⋯「ポジティブではない」2年目右腕・瀧中瞭太(27)、その真骨頂とは
posted2021/11/02 06:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
KYODO
10月23日。勝てば2年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出が決まるソフトバンク戦で楽天の先発マウンドに上がったのは、2年目の瀧中瞭太だった。
試合前のブルペンでは「よくなかった」と、瀧中は自身のコンディションを述べた。
だからこそ、丁寧に投げた。
低めのコースにボールを集める。カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップ、フォーク、シンカー、シュート。多彩な変化球を効果的に用い相手の打ち気を逸らす、社会人時代から身上とするピッチングで粘った。
その結果が、6回1失点。チームのCS進出に貢献したシーズン最後となる登板で、瀧中は初の10勝を記録した。
楽天では則本昂大の11勝に次ぐ勝ち頭となったわけだが、それまでの歩みは、先の試合で体現した粘りそのものである。
「第6の男」からチーム2番目の勝ち頭へ
今季のスタート地点は「第6の男」だった。
開幕前、楽天の先発投手陣を「豪華」だと周囲は騒ぎ立てた。ニューヨーク・ヤンキースから8年ぶりに復帰した田中将大に、涌井秀章、岸孝之、則本の通算勝利数を合計し、「538勝ローテーション」と呼ばれた。そこに、ゴールデンルーキーの早川隆久が加わる――。その堅牢な布陣において、開幕ローテーション最後の6人目を勝ち取ったのが、通算2勝の瀧中だった。
「相手が誰であろうと負けたくない気持ちはありますね」
気概を口にしていた瀧中が、この最強ラインナップに名を連ねられたバックボーンがある。それは、ルーキーだった昨季の経験。プロで投げ切る体力がないと痛感できたことだ。
「2年目はそこを改善していかないと、長く野球はできないくらいに思っています」