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《祝・文化勲章》長嶋茂雄の深い将棋愛 「飛車と角のツーウェイ・アタックですよ!」中原誠名人と記念対局…その内容とは
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph bySports Graphic Number
posted2021/10/26 17:10
プロ野球界のスーパースター長嶋茂雄も将棋で「勘ピューター」を磨いていたようだ
貴重すぎるミスターと中原名人の対局姿
当時の状況を、写真で何枚か紹介する。
写真は、対局光景。長嶋は長身の体を折りたたんで窮屈そうだが、盤面に集中していた。
私は、長嶋の当時の背番号90と同じくらいの手数で、長嶋が勝つことを願っていた。しかし、中原が粘り続けたうえに、長嶋が攻めそこなったので、手数は100手を超えた。そして大熱戦の末に、長嶋の初勝利は成らなかった。
長嶋は局後、記録用紙に記入された手数(139手)を見て、「ずいぶん持ったもんですね」と語った。
写真は、内容の良い将棋を指して満足げな様子の長嶋。
私は当日、前述した野球専門誌の長嶋特集号を持参した。その中には、自宅で小学生時代の子息の長嶋一茂(現タレント・スポーツキャスター)と将棋を指す写真が載っていた。高さが10センチもある榧(かや)の材質の高級盤なのに駒台がなく、持ち駒は畳の上に置いてあった。長嶋はその将棋でも中飛車だった。
私が長嶋にその写真を見せて「息子さんと将棋を指していましたね」と話しかけると、「ああ、そうですね」と応じられたが、会話は続かなかった。少年時代から長嶋ファンの私としては、少しでも話ができてうれしかった。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。