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「苦しい」「難しい」藤井聡太と永瀬拓矢が感想戦で何度も…“敗因不明”の王将戦初戦「えっ!」将棋漬けの天才が見せた“意外な一手と目標”
posted2026/01/14 06:01
“将棋漬けの天才”永瀬拓矢九段は、2日制のタイトル戦で藤井聡太王将相手に初の先勝となった
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田丸昇Noboru Tamaru
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日本将棋連盟
2026年の幕開けとなるタイトル戦はALSOK杯第75期王将戦七番勝負。藤井聡太王将(23=竜王・名人・王位・棋聖・棋王を含めて六冠)に永瀬拓矢九段(33)が2期連続で挑戦している。
過去6回の両者のタイトル戦では、いずれも藤井がシリーズを制してきた。ただ将棋の内容はいずれも接戦で、勝敗に関係なく拮抗していた。王将戦第1局は1月11、12日に静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」で行われ、永瀬九段が激闘の末に藤井王将に先勝した。両者が語った王将戦に臨む心境や「難しい」と異口同音に語った対局内容、両者の公式戦の対戦成績などについて、田丸昇九段が解説する(棋士の肩書・称号は初出以外省略)。
藤井が語る「面白い将棋」の真意とは
「2016年にデビューして以来、26年はちょうど10年になります。以前は完璧な将棋を指したい気持ちが強かったです。最近は自分の将棋の幅を広げていくために、面白い将棋を追求したいと考えています。対局するごとに未知の局面に出会います。それを楽しみつつ、面白い手や指し方を作り出したい。(八冠復帰への意欲を記者に問われ)タイトル挑戦を目指す気持ちは持っています」
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藤井六冠は昨年12月に新春向けの合同インタビューで、このように語っていた。
藤井は以前にも「面白い将棋を指したい」と語ったことがある。それは派手な指し方などでファンを楽しませたいとの意味ではない。終盤でどちらが勝つか不明の難解な局面で切り結びたい、との意味のようだ。自身を修羅場に追い込むことになるが、絶対的な読みの量に自信があるからにほかならない。
前記のインタビューで語った「面白い将棋」は、未知の局面に出会って考えることを楽しみたいとの思いがあるようだ。何事にもとらわれない融通無碍な心境ともいえる。
永瀬の“vs藤井以外の勝率”は「.868」
対する挑戦者の永瀬九段は睡眠時間を削って将棋の研究に打ち込み、将棋漬けの日々を送ってきた。年末年始も対局翌日も、研究会で練習将棋を指して鍛錬した。しかし今年の正月は研究会を減らし、休養を取って独りで過ごしたという。
そして、藤井に対してどう戦うかを模索した。

