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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「3部優勝だけではまったく満足してない」岩田智輝がバーミンガムで目指す“1年でプレミア昇格”「見返していきたいという思いがずっとあります」
posted2025/07/06 11:01

イングランド3部で独走優勝したバーミンガムのボランチとして全38試合出場6ゴールをあげた岩田智輝(28歳)がNumberWebのインタビューに応じた
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Getty Images
「どこか割り切った自分がいた」
いつしか「忘れられた存在」になりつつあった。
2022年のJリーグMVP、岩田智輝はその年の暮れに横浜F・マリノスからセルティックに移籍。マリノス時代にプレーしたアンジェ・ポステコグルーのもと複数のポジションで起用されて飛躍の下地をつくったものの、2023~24年シーズンにブレンダン・ロジャーズが指揮官に復帰すると出場機会が減り、ベンチを温める時間が長くなる。キャプテンマークを巻くスコットランド代表カラム・マクレガーの控えというポジションを崩せないまま、時間が過ぎていった。
何とかしたい――。
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2023年10月22日、アウェイのハーツ戦では旗手怜央と交代でピッチに入ると味方のシュートからこぼれてきたボールにそのまま左足を振り抜き、セルティックでの初ゴールを豪快に決めている。最高のアピールとなったと思いきや、3日後の欧州CLアトレティコ・マドリー戦を含めた過密のなかにあっても出場機会は得られなかった。
「いつかチャンスをもらったときに活躍しよう。そういうふうに思ってやっていましたが、(練習で)いいプレーをしても、別にしなくてもマクレガーは絶対的な選手ですし、状況はまったく変わらない。これはもう仕方ないな、とどこか割り切った自分がいました」
岩田が言う「割り切る」は、ヤル気を無くすと同義ではない。
試合に出る、出ないは自分でコントロールできるものではなく、そこに左右されてしまえば欧州で成長していくという本来の目的さえ見失うことになる。
いかなる状況であっても、腐ってはいけない。それは己の経験値として体内に埋め込まれているものだ。プロ3年目、J2大分トリニータでの2018年シーズン、ケガから復帰しても試合に絡めない日が続いた。“どうして出られないんだ”という思いが、隠し切れないで態度にあらわれてしまっていた。
苦境のなかで大切にした言葉
見かねた先輩GKの修行智仁(現在はFC今治GKコーチ)が待っていた。
『試合に出ることじゃなくて、チームの中心になるためにお前が足りないものを見つめ直してみろ。チームの中心になることを考えたら、行動が変わってくるはずだ』
心にグサリと刺さった。