Number Web MoreBACK NUMBER
<ドラフト>ホークス3位・木村大成/阪神4位・前川右京/ロッテ4位・秋山正雲/巨人7位・花田侑樹… スカウトが《甲子園で高評価》した能力とは
text by
間淳Jun Aida
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/10/11 20:00
2本塁打を放って智弁学園の準優勝に貢献した前川右京。彼以外にもプロが注目した選手は多い
プロ野球の長いシーズンでは必ず調子の波がある。調子が悪い時にも最低限の結果を出すことや、スランプの時期を短くすることが、レギュラー定着の条件となる。豪快な打撃、長打が魅力の前川選手だが、それだけではないところを証明した。うちのチームは長打力のある左打者は厚くしたいポイントなので、ドラフトのリスト上位に入ってくる。
巨人7位:広島新庄・花田侑樹投手
スカウトが、この他に印象に残った選手として挙げたのが、投手では広島新庄・花田侑樹と日大山形・滝口琉偉だった。花田については「高校生としては完成度が高い。手足が長く、理にかなった投球フォームなので、制球が安定している。特にカットボールが良かった」と評価した。
一方、課題にはスタミナを挙げ「器用なタイプなので無難にまとまらないように気を付けてほしい」と語った。
滝口には、素材の良さと可能性を感じたという。
甲子園では自己最速を更新する球速150キロをマーク。腕のしなりと体の柔らかさが魅力で「今は力任せに投げているが、投球フォームを固めて体をつくれば、まだスピードは出る。現時点でドラフト上位候補とは言えないが、気持ちも強そうで、セットアッパーとして起用したくなる」と成長に期待した。
野手では、智弁和歌山・宮坂厚希にセンスを感じたという。
甘いボールは長打にする力があり、内角・外角・変化球にも対応する打撃についても評価している。「バットコントロールと選球眼に優れ、相手投手は神経を使うだろう。しかも俊足なので、塁に出れば得点チャンスが広がる。木製バットへの対応さえ問題なければ、走攻守がそろった選手は、どの球団も興味を示すはず」とドラフト候補に挙げた。
プロのスカウトは当然ながら、甲子園のパフォーマンスだけで選手を評価するわけではない。継続的に選手の能力や将来性を見極める。チームの編成・戦略も関わってくる。ただ、甲子園という大舞台で力を発揮できるのかは、プロで生き残る技術やメンタル、それらを超えた何かを持っているのかを判断する材料となる。
<中谷監督の采配編に続く>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。