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<中日1位>ブライト健太《3年前の脱走事件》同級生4人が説得「足立区の実家まで追いかけて…」、歌ったケツメイシ『仲間』
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2021/10/12 11:05
中日ドラゴンズに1位指名されたブライト健太(上武大4年・外野手)。「春の覚醒」の裏には、仲間たちとの知られざるエピソードがあった
ともに切磋琢磨してきた井上も「男らしくて優しい」というブライトの成長を喜んだ。「やると決めたらやるし、学生コーチらが指摘する前にチームメイトに言うべきことを言ってくれる」とリーダーシップにも一目を置く。
また、井上がプライベートで彼女と別れた際に相談をすると「固執するな。お前の人生をもっと楽しめ」と言われたそうで、「ブライトが脱走した時に僕が掛けた言葉と似てるんですけどね」と笑った。先日には、お腹を空かせて鳴いていた野良猫に買ったばかりのフライドポテトをあげる場面にも遭遇し、「人だけでなく動物にも優しいんだ」と感心したという。
「とにかく野球が好きなヤツ。簡単ではないと思いますけど、結果どうこうより楽しんで野球をやってほしいですね。それをまた一番近くで応援したいです」(井上)
「辞めなくて良かった」
指名後の記念撮影では自分のことのように喜びを爆発させる仲間たちに大いに祝福され満面の笑みを浮かべたブライト。その輪が解けると、しみじみとこう語り出した。
「最高の仲間に出会うことが最大の価値だと谷口監督も常々言っていましたが、本当に大学野球をやってきて良かったと心から思います。辞めなくて良かったです」
あの時、仲間が思いを伝えていなければ、今のブライトも、これから多くのファンを沸かせるであろう未来のブライトもいなかった。彼ら4人にいつかの日か、中日ファン、日本の野球ファン、世界の野球ファンが「あの時はありがとう!」と言えるような活躍をブライトには期待したい。
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