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<中日1位>ブライト健太《3年前の脱走事件》同級生4人が説得「足立区の実家まで追いかけて…」、歌ったケツメイシ『仲間』 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2021/10/12 11:05

<中日1位>ブライト健太《3年前の脱走事件》同級生4人が説得「足立区の実家まで追いかけて…」、歌ったケツメイシ『仲間』<Number Web> photograph by Yu Takagi

中日ドラゴンズに1位指名されたブライト健太(上武大4年・外野手)。「春の覚醒」の裏には、仲間たちとの知られざるエピソードがあった

 その後もなかなか期待に応えられず、3年時までのリーグ戦通算成績は8打数無安打5三振。4年時からは一般の就職活動に切り替えてもおかしくない成績だったが、覚悟を決めたブライトは諦めなかった。

「何が何でもホームランと思っていて、ボール球や変化球の見極めができていなくて、バットに当たらない打者でした」とそれまでの打撃を反省し、確実性の向上に取り組んだ。さまざまな人の意見を取り入れ、打席の中での“間”やタイミングの取り方を意識しながら試行錯誤する中で、ようやく自分の型を掴んでいった。

 そして春のリーグ開幕戦で4番に抜てきされると、2本の二塁打を含む4打数4安打2打点の活躍。これで勢いに乗ったブライトは、その後も打率.380、3本塁打12打点の成績を残してリーグMVPを獲得した。

 さらに、谷口監督から「ここで活躍しないとプロはないよ」とハッパをかけられた全日本大学野球選手権では、4球団が競合した左腕・隅田知一郎(西日本工業大/西武1位)から左翼席に飛び込む本塁打を放つなど、13打数8安打、打率.615、2本塁打5打点の大活躍で4強入りに貢献。外野守備でも全身のバネを生かした走力と優れた勘で後方の打球も難なく捕球するなど、持ち味を存分に見せつけた。

 これにはスカウト陣も「身体能力の高さや長打力に加えて、守備が想像以上に良かったです。この春は違う一面を見られました」と唸った。また「元気に声を出すのもいいですね」とあらゆる面で高評価を受けた。

谷口監督「男気や魂があります」

 4年間、その成長を見守り続けてきた谷口監督も太鼓判を押す。

「上武大からは安達了一(オリックス)ら何人もプロの世界に進みましたが、彼らと比べても打撃は群を抜いてます。ボールに対しての反応、対応力が高いですし、観察力や洞察力がつきました。あとはハートもいいんです。今どきの若い子にはない男気や魂があります」

【次ページ】 井上「とにかく野球が好きなヤツ」

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