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〈中日ドラフト3位〉石森大誠が“独立Lで155kmサウスポー”に化けた、馬原孝浩コーチの助言「お前の球を投げていれば」
posted2021/10/11 19:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
近年、高校・大学・社会人に続き“第4のドラフト輩出先”となっている独立リーグ。2021年のドラフト会議で指名を待つ候補たちに話を聞いた(全3回/香川、高知編も)
今季からスタートした「ヤマエ久野 九州アジアリーグ」の初代優勝チーム、熊本の火の国サラマンダーズはとにかく強かった。大分B-リングスとのリーグ戦は23勝9敗、四国アイランドリーグplus、琉球ブルーオーシャンズ、ソフトバンク三軍との交流戦は12勝6敗1分。合計35勝15敗1分、勝率.700。
当然、選手の陣容も充実していたのだが、中でもNPBが注目するのは、最速155km/hの剛速球左腕、石森大誠だ。シーズン終盤になって、石森が投げる試合のネット裏には、ワイシャツ姿の大男たちが多数陣取るようになった。NPBのスカウト陣だ。
遊学館→大学を経た23歳の石森大誠
「メディアの取材もたくさん受けました。今日は久しぶりのホームゲームで、スカウトの方もたくさん来ているのでやりがいがありますね」
前向きな言葉が印象的である。1997年12月3日生まれで石川県出身の23歳、178cm80kg。中学時代の部活は軟式野球、そこから遊学館高校に進んだ。
「小学生のころに遊学館に行った先輩がいて、甲子園出場の記念のタオルを持ってきてくれたのが印象的で、僕も行こうと思いました」
石森が異色なのは、なかなか「投手一本」に専念できなかったことだ。
高校時代は野手と投手を掛け持ちしていた。3年生の2015年夏、遊学館は甲子園に出た。石森は3回戦の東海大相模戦で、4番手投手としてマウンドに上がった。
「走者を背負った状況でマウンドに上がって、今は中日にいる小笠原慎之介選手に安打を打たれました」
そして甲子園に行く前から声をかけてくれた山形県酒田市の東北公益文科大学に進んだ。
「投手でいくと言われていたのですが、野手もできるということで1年、2年と野手でした。3、4年は投手に専念してそこそこ成績を残したので、プロ志望届を出しましたが、ドラフト指名はありませんでした。そのあとで、大学の横田謙人監督から、社会人チームの熊本ゴールデンラークスから声がかかっているよ、と言われました」