甲子園の風BACK NUMBER
《ドラフト1位候補》「ちょっと悔しなった笑」小園健太を飛躍させた“智弁和歌山”との3年間…野球以外の楽しみは“Netflixで韓ドラ”
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2021/10/10 06:03
ドラフトを控え、改めて高校3年間を振り返った小園健太。互いに切磋琢磨してきた智弁和歌山の優勝は大きな自信にもつながった
一方で小園も、智弁和歌山という好敵手によって引き上げられた高校3年間だった。
「入学した時から智弁和歌山には何回も負けていて、甲子園に出るためには智弁和歌山を倒さないといけないとずっと思っていた。県内にそういう強い相手がいたからこそ、自分も成長できました」
小園が市和歌山に入学した時から2年の夏まで、和歌山県では春、夏、秋の県大会で智弁和歌山が常に優勝していた(20年春は中止、夏は独自大会)。昨秋の新人戦準決勝が、小園にとって初めて経験する智弁和歌山戦の勝利だった。その後の県大会準決勝でも対戦し5-4で逃げ切った。だがその試合、小園は11安打を浴び、「ストレートに当てられた」と危機感を抱いた。
近畿大会でも、1回戦を勝ち上がれば準々決勝で再び智弁和歌山と当たる組み合わせに。
「組み合わせが決まった瞬間、『最悪や』って。一番当たりたくなかった。ずっとヤバイヤバイと言っていました(苦笑)」
徹底的に磨いたストレート
近畿大会準々決勝までの3週間、徹底的にストレートを磨いた。小園は手元で鋭く変化するカットボールやツーシームなどの多彩な変化球が武器だが、それもストレートがあってこそ。
「まっすぐにスピンがよくかかるように、キャッチボールの時から指のかかりをしっかり意識したり、どういう回転だったかを相手に見てもらいながら常にやりました。縦回転をしっかりかけて、垂れない、最後まで威力のあるまっすぐを求めて取り組みました」
その結果、近畿大会準々決勝では智弁和歌山打線を押し込み、4安打完封勝利。秋は智弁和歌山に3連勝し、今春のセンバツ出場をつかんだ。
智弁和歌山との4度目の対戦は、春季和歌山大会決勝。小園は1-2の6回にマウンドに上がったが、5失点し、1-7で敗れた。
しかし大会後に取材した小園は、まったくダメージを感じさせなかった。