酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
《ドラフト隠し玉候補》“盗塁成功率8割の走り屋”と“鉄砲肩の19歳捕手”が独立L徳島に…「甲斐選手のように育成でも」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2021/10/09 17:01
独立リーグ徳島の村川凪(左)と古市尊。足と肩のスペシャリストとなれるか
「1シーズンやって肩は通用すると思いました。課題はバッティングですね。木製バットは初めてですし。そして投手は球が速いし、変化球の切れもあるし、すべてにおいてレベルが高いです。僕の高校は強豪校ではなく、いい投手の球を受けたことがなかった。だからキャッチングやブロッキングなど、慣れるまで時間がかかりましたが、だいぶ慣れてきました」
ただ、その肩についてはスカウトも目を見張るほどだ。盗塁阻止率は5割を超えている。
「1回刺したら警戒して走ってこなくなりますね。ただフレーミングもまだまだです。逆球や低めのギリギリのときはミットが下がったりします」
圧倒的な肩は入団から目立っていた
吉田篤史監督は評価と課題をこのように話している。
「圧倒的な肩は入団から目立っていたが、コントロールもだいぶ良くなった。捕ってから投げるのも良くなった。
ただ、投げる以外はできないことがいろいろある。うちには小山一樹というレベルの高い捕手がいる。勝つことだけを考えたら小山を起用するが、古市を伸ばすために“ミスするだろうな”と思いながらも起用した部分もあった。投手にも迷惑をかけたと思うが、反対に完成度の低い投手だって、成長させるためにあえて起用して打たれながらも我慢することもあるので、お互い様だ」
と小山一樹もプロが注目する選手の一人だが、徳島は「素材」として古市を起用し続けたのだ。
スカウトは、独立リーグのペナントレースの数字だけを見て選手を評価しているわけではない。数字ではわからないポテンシャルを見極めて指名するのだ。
試合を見ていたスカウトは「どこか一つでも飛びぬけたところがある選手がいい。足りない部分はプロに行ってからしっかり仕込むので」と語っていた。
古市には今年もスカウトから声がかかっているという。
「目標にしているのはソフトバンクの甲斐拓也選手です。足の運びなどを真似て走者を刺せるようになりました。甲斐選手もそうでしたが、育成でもプロに行きたいと思います。指名がなくても、来年も頑張りたいと思います」
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