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<ドラフト真相>「斎藤くんが巨人にどうしても入りたいと言ってくれたら…」巨人が斎藤佑樹を断念して澤村拓一を1位指名したワケ
posted2021/10/09 11:06
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Jun Tsukida/AFLO SPORT
日本ハム・斎藤佑樹投手の現役引退発表は、あの熱烈な“ハンカチフィーバー”を現場の片隅で取材していた筆者にとっては、一つの時代の終焉を思わせるものだった。
もちろん甲子園大会での熱投、早稲田大学進学後の活躍もさることながら、プロ野球を中心に取材をしてきた筆者にとって、鮮烈に記憶に残っている1つが、2010年のドラフトでの取材だった。
この年は斎藤の他にも早大のチームメイトの大石達也、福井優也両投手、中央大の澤村拓一投手に佛教大・大野雄大投手らが1位指名候補として注目されていた。
中でもやはり最大の注目は斎藤の去就。
斎藤は松坂大輔投手以来の存在だった
高校時代から「ハンカチ王子」として絶大な人気を誇り、早大でも1年生から活躍して、通算31勝15敗の成績で史上6人目となる30勝300奪三振を達成。何よりも甲子園のスターから六大学のスターとなって、斎藤が先発する試合には男性の野球ファンだけではなく、それまでは野球に興味のなかったような女性ファンが殺到した。
その動向がスポーツ紙やテレビのスポーツ番組だけではなく、主婦層をターゲットにしたテレビの情報番組でも盛んに取り上げられるなど、国民的人気を誇る選手は、1998年のドラフト1位で横浜高校から西武に入団した松坂大輔投手以来の存在だったのである。
その一方で高校時代の伸びやかなピッチングから、大学4年間で勝つことを優先するあまりに小じんまりまとまりすぎて、4年間の成長度を感じられないという声があったのも事実だった。
そこで早大ではクローザーとして活躍し、球にキレのある大石や荒削りだがパワーピッチが魅力だった澤村にも注目が集まっていた。
その中でドラフトまであと2カ月と迫った9月上旬に筆者が、NumberWebのこのコラムで「人気の斎藤か? 実力の大石か? 巨人のドラフト1位指名選手は誰だ!」という原稿を書いた。