猛牛のささやきBACK NUMBER
「正尚さんがMVP」「正尚がやりよった」オリックスの仲間たちが誇る吉田正尚の大活躍…先輩ラオウは「めっちゃおもろい」その理由は?
posted2023/03/24 11:17
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Naoya Sanuki
「僕の中では、正尚さんがMVPです」
WBCで日本代表が14年ぶりの優勝を果たした日、吉田正尚(レッドソックス)と自主トレを共にする愛弟子の来田涼斗(オリックス)は、いつにも増して瞳をキラキラさせながら、誇らしげに言った。
その言葉に大きく頷いてしまう。もちろん大谷翔平(エンゼルス)のMVPに異論はないが、今大会での吉田の救世主ぶりはMVP級だった。
同じくオリックスの後輩で、吉田と自主トレを行っている佐野如一は、「マサさん(吉田)はああやって本当に打ってほしいところで打つので、やっぱりすごい。改めて、ああいう選手になりたいなと、背中を追いかけてしっかり頑張りたいなと、またさらに思いました」と大きな刺激を受けていた。
“173cm”でも世界と戦える
佐野は以前、吉田と自主トレを行う理由をこう明かしていた。
「僕がまだ高校生ぐらいの時に、大学日本代表だったマサさんが、僕と同じぐらいの身長なのに、ものすごいスイングでホームランを打っているのを見て、『この人みたいになりたい』と思いました。その時はまさか同じチームに入ることになるとは思わなかったんですけど、オリックスに入った時からもう、一緒に自主トレをやらせていただきたいと思っていました」
吉田は身長173cmとプロ野球選手の中では小柄だ。もちろん鍛えあげた体と技術、動じない心があればこそだが、小柄でも、日本だけでなく世界で戦えるということを今大会で証明した。佐野と同じように、多くの人が勇気をもらったのではないか。
今大会の7試合で、吉田は打率.409、本塁打2、四球4、死球4、三振1、そして大会新記録の13打点をたたき出し、ベストナインに選出された。
とにかく勝負強さが光った大会だった。