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「この試合が分岐点となった」フランス代表監督デシャンがチームに授けた、ロシアW杯アルゼンチン戦勝利への秘策

posted2021/10/06 06:01

 
「この試合が分岐点となった」フランス代表監督デシャンがチームに授けた、ロシアW杯アルゼンチン戦勝利への秘策<Number Web> photograph by L’Équipe

18年ロシアW杯ではフランスを優勝に導いたデシャンだが、ユーロ2020ではフランスはベスト16で敗退した

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 ディディエ・デシャンによるロシアW杯ラウンド16、フランスが4対3でアルゼンチンに勝利した試合解説の後編である。

 強く印象に残っていることがある。この大会、グループリーグのフランスはパッとしなかった。初戦のオーストラリア戦は内容的に見るべきものはなく、試合後にプレスセンターで会ったアラン・ジレスは、「勝った。ただそれだけだ」と吐き捨てるように語った。続くペルー戦こそ内容はよくなったものの、最終のデンマーク戦は引き分ければともにグループリーグを突破できる状況で、日本対ポーランド戦の終盤のような無気力な戦いを90分間続けた。試合後の会見でデシャンは、記者にそのことを質問されると「ああいう状況だから仕方ないだろう」と苦笑いを浮かべていた。

 ラウンド16の相手はクロアチアになるのかアルゼンチンになるのか。厄介なアルゼンチンよりもクロアチアの方が相性もいいし戦いやすいのではと私は思ったが、『フランス・フットボール』誌の友人(フランソワ・ベルドネ)の思いは違っていた。

「アルゼンチンとやりたい。フランス対アルゼンチン、ビッグゲームだ」

 目を輝かせながら彼はそう語った。

 これが強者のメンタリティなのかと思った。ブラジルやドイツ、イタリアと過去に名勝負を繰りひろげ、敗者から勝者に変貌を遂げていった国のメンタリティなのかと。たしかにアルゼンチン戦はフランスにとって分岐点となった試合で、この試合の後フランスは2度目の優勝に向けて一気に駆け抜けていく。

 前半終了間際に1対1の同点に追いつかれたデシャンが、ハーフタイムで選手に何を指示し、逆転された後にどんな戦いを挑んだか。デシャンの解説は続く。(全2回の2回目/#1から続く)

(田村修一)

ハーフタイム《もっと積極的にシュートを打て!》

 われわれは興味深い状況を何度も作り出し早々に1対0とリードした(13分にグリーズマンがPKで先制)。アルゼンチンの攻撃は危険ではなかったが、ハーフタイム直前(41分)に同点に追いつかれた。守備が全体に下がりすぎていたために、ディマリアのシュートへの対応が遅れた。その前の展開でわれわれは自陣の右サイドに人数を割き過ぎて、相手3人に対し7人で対応した。結果は……。相手の攻撃を阻止しようと守備に気を取られ過ぎた。アルゼンチンはズレを作り出してボールを左サイドに回したが、ブロックが低すぎてポール(・ポグバ)もNG(エンゴロ・カンテの愛称)も25~30mのあたりでボールを受けたディマリアに対応できなかった。彼のシュート力はよくわかっている。だからハーフタイムでは、多少のフラストレーションを感じていた。

【次ページ】 20分間の熱狂《強いのは自分たちだ》

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