内野手編（2）セガサミー・中川智裕遊撃手（188cm86kg・右投右打）

　しかしタイプが異なれば、興味深いショートストップはほかにもいて、セガサミー・中川智裕遊撃手（24歳・188cm86kg・右投右打・近畿大）の「鉄砲肩」はプロでも間違いなくトップクラスと見ている。

　これだけのサイズでショートを守れるボディバランスが、まずすばらしい。

　188cmの長身を「180cm」ぐらいにコンパクトにまとめて動けるのは、全身の柔軟性や身のこなしの器用さが「天性」だからだ。教わって動いているような人工的なわざとらしさが、まるでない。

　三遊間の深い位置の逆シングルキャッチからも、腰を割った状態のまま、人の胸ぐらいの高さでいわゆる「糸を引くような」ダイレクトスローイング。もちろん、ストライクスローだから、目を奪われる。

　フッと……188cmあって、これだけのボディバランスと強肩だったら、24歳の今からでも、「投手」にしてはどうなんだろう…。そんな妄想すら浮かんでくる。コントロールなどは未知数だが、145キロ前後ぐらい、余裕で出して見せるのではないか。

　初回のファーストプレーから、どん詰まりの小フライをショートバウンドでスライディングキャッチ。即、立ち上がって一塁送球で刺すようなトリッキーなプレーをやってのける。上も、横も、下からも同程度の精度で投げられるスローイングセンス。

　今の選手でたとえるなら、巨人・坂本勇人遊撃手なのだろう。ちょっと前になるが、中日、ソフトバンクで189cmの長身を躍らせるような華やかなフィールディングを展開していた鳥越裕介（現・千葉ロッテ二軍監督）が重なってしかたない。

　近畿大当時から、これだけの守備のセンスがバッティングに生きないわけがない……そう期待して見てきたが、ようやくその兆候がチラリと見え始めたようだ。センター方向への痛烈ジャストミートに、ライト方向にあわやスタンドインの飛距離。今までの中川の打席では、見たことのなかった打球が、この7月の日本選手権では飛び始めた。

　あとは、プロ注目投手の145キロぐらいの速球に圧倒されないことと、チャンスの場面できびしい攻め方をされた時の生き残り方だ。打った、打たない以前に、打席の様子がじれったいほど弱すぎる。エンドランのサインで、楽々二塁盗塁セーフのスピードまであって、まだ我が才能に疑念を持つのか。

　ごちゃごちゃせず、バーン！と振ってこーい！

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