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アーセナル移籍の冨安健洋が上々のプレミアデビュー…右SB起用も適正は中央にあり? ケイン、ルカク、C・ロナウドとの胸熱マッチアップも
posted2021/09/17 17:04
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
移籍市場が幕を開けた6月頭、冨安健洋はトッテナムとリンクされていた。新任フットボールディレクター(FD)であるファビオ・パラティーチが特にご執心で、移籍合意説も聞こえてきた。冨安のスケジュールを考慮し、東京オリンピック終了とともに正式契約、との情報が大勢を占めていた。
ところが、いつの間にかトッテナムの事情が変わっていた。ダビンソン・サンチェスが復調し、ジャフェット・タンガンガも急成長。そして冨安の獲得を了承していたヌーノ・エスピリト・サント監督が、ポリバレントなタイプではなく、右サイドバックの専門家を欲したという。その結果がエメルソン・ロイヤルの獲得だった。
こうした方向転換は移籍市場で頻発する。
日本人初のユベントス所属選手になっていた可能性も
今夏マンチェスター・シティがハリー・ケイン(トッテナム)獲得に及び腰だったのは、ドルトムントがアーリング・ハーランドの契約解除金を、1億5000万ユーロ(約195億円)前後に設定したからに違いない。トッテナムが28歳のケインにつけた値札は1億5000万ポンド(約225億円)。費用対効果は明らかだ。
なお、パラティーチはこの6月までユベントスのFDを務めており、2~3年にわたり冨安をモニタリングしていた。もしトッテナムに引き抜かれていなかったら、冨安は日本人初のユベントス所属選手になっていたに違いない。
「Who is Takehiro Tomiyasu?」
英国の一部メディアが勉強不足を露呈した。なんと浅はかな。
「チームが混乱している場合、冨安にアドバイスするケースが多かった。彼は即座に私の意図を理解し、チーム全体を修正できるからね。右サイドバックでもセンターバックでも中盤センターでも、つねに100%コミットしてくれる極めて有能なタレントだ」
冨安は昨シーズンまで所属していたボローニャを率いるシニシャ・ミハイロビッチ監督も絶賛する名選手だ。それほどの男を、アーセナルはなんと2000万ポンド(約30億円)で獲得できた。バーゲンといって差し支えない。ちなみにベン・ホワイトを獲得するため、ブライトンに支払った額は5000万ポンド(約75億円)。高すぎる。