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鈴木誠也の「6試合連続本塁打」も会心の記録だが… 王貞治「7試合連続」の内容を改めて調べると凄まじかった〈週刊セパ記録〉
 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKyodo News/Getty Images

posted2021/09/14 11:04

鈴木誠也の「6試合連続本塁打」も会心の記録だが… 王貞治「7試合連続」の内容を改めて調べると凄まじかった〈週刊セパ記録〉<Number Web> photograph by Kyodo News/Getty Images

6試合連続本塁打の鈴木誠也と7試合連続の王貞治。これだけ連続でアーチをかけ続けたこと自体に素晴らしい価値がある

 戦前、1938年10月11日~22日に、巨人の中島治康が5試合連続本塁打を記録。中島はこの秋シーズンで日本プロ野球史上初の三冠王を記録している。

 1リーグ時代は中島に追いつく選手は出なかったが、1950年10月1日~13日に近鉄の森下重好が2人目の5試合連続本塁打を記録。これを皮切りに1972年まで5試合連続を記録した選手は10人を数えたが、この数字を破る選手は出なかった。

 この記録を一挙に「7」まで伸ばしたのが巨人の王貞治だった。

7試合連続本塁打で凄まじい“ある打席”と長打率

 王貞治は、1972年まで10年連続本塁打王となり、すでに史上最強の長距離打者と言われていたが、連続試合本塁打だけは長らく「4」で止まっていた。1963年から1970年までの8シーズンで12回も4試合連続本塁打を記録するも次の1本が出なかったのだ。しかし1970年6月16日~23日にはじめて5試合連続本塁打を記録。NPBタイ記録とすると1972年9月11日~20日に一気に7試合連続本塁打を記録した。

 この記録が凄まじい。

 9月11日 広島戦 三ゴ 左2 遊ゴ 右本
 9月13日 阪神戦 右本 三振 右本 四球
 9月14日 阪神戦 中飛 右本 敬遠 敬遠 四球
 9月17日 中日戦 左飛 敬遠 右本 四球 敬遠
 9月17日 中日戦 右本 中安 一ゴ 右本 四球
 9月19日 阪神戦 右本 四球 一併 二邪 二飛
 9月20日 阪神戦 右本 四球 左犠 一邪

 17日はダブルヘッダー、時代を感じさせる。7試合で21打数11安打9本塁打1二塁打10四球(うち敬遠4)、打率.429、長打率1.857という猛打だった。

 7試合のうち4試合で第1打席に本塁打を打っている。試合の序盤は敬遠されることは少ないし、プレッシャーも軽いので、早いうちに打ってしまえというところか。

 なお、中島治康の1938年の初の5試合連続本塁打は、1973年に記録部が過去の記録を再検証し35年ぶりに発掘したものだ。当時存命中だった中島治康は「そういえば毎日ホームランを打ったような記憶があるな」と言ったという(宇佐美徹也氏「プロ野球データブック’84」より)。

バースも7戦連続、鈴木誠也以外の6試合連続は?

 その後、6試合連続本塁打を記録する選手も出て、今では今回の鈴木誠也も含め、16人が6試合連続以上の本塁打を記録している。

【次ページ】 鈴木誠也で興味深いのは「打球方向」と球場のサイズ

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