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愛憎と因縁がアツい《セリエAの7強指揮官》 ユーベを恨むサッリはラツィオ、モウリーニョはインテル3冠から11年後にローマで楽しそう
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/09/14 11:01
ローマの新指揮官となったモウリーニョ。かつてのカリスマ的な采配を永遠の都で見せられるか
リーグ最優秀DFロメロと正GKゴッリーニをトッテナムに放出したが、金の卵発掘にかけては今や右に出る者なしのアタランタは新守護神ムッソ(前ウディネーゼ)とDFデミラル(前ユベントス)をそれぞれ穴埋め役として獲得。
6シーズン目を迎えたプロビンチャーレの名将ガスペリーニは、イタリア代表として欧州を制した復帰2年目のMFペッシーナや3年目のMFマリノフスキの爆発に期待をかける。FWムリエルとFWサパタの陽気で冷酷なコロンビア・ストライカーコンビが見られるのはセリエAだけだ。
下剋上を狙う無名のたたき上げ指導者もアツい
今季のセリエAは“7シスターズ”ばかりではない。
欧州王者イタリアは指導者大国でもある。無名の叩き上げ指導者たちもまた下剋上を狙う。
2年連続8位の好成績を残したサッスオーロは、A実績ゼロの指揮官ディオニージを招聘した。
昨季エンポリを率いてセリエB優勝を果たした新進気鋭の41歳は、昇格クラブを見捨ててサッスオーロからの引き抜き話に乗ったため、古巣のファンの恨みをかった。エンポリに移籍した昨年の夏にもヴェネツィアとの契約を反故にしており、古巣2クラブはサッスオーロとの対戦を手ぐすね引いて待ち構えているだろう。
スペツィア留任を蹴ってフィオレンティーナの新指揮官となったイタリアーノにも同様の遺恨対決が待ち構える。
だが、彼らにもプロの指導者として成り上がる野心がある。地方クラブのサッスオーロからCL監督に出世したデゼルビ(現シャフタール)に続け、とプロビンチャーレの監督たちもジャイアントキリングに牙を研ぐ。
7強は姉妹間の争いばかりに気を取られていると、思わぬところで足をすくわれるだろう。
愛憎と野望、咆哮と陥穽。
欧州王者の国のカンピオナートは、実力伯仲の戦国時代に突入した。