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愛憎と因縁がアツい《セリエAの7強指揮官》 ユーベを恨むサッリはラツィオ、モウリーニョはインテル3冠から11年後にローマで楽しそう
posted2021/09/14 11:01
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
EURO2020を制したイタリアでは、セリエAの7強クラブによる大混戦のシーズンが幕を開けた。世に言う“7シスターズ時代”の再来だ。
王者インテルは、11年ぶりにスクデットを奪回した昨季とはまったく別のチームに生まれ変わっている。
闘将コンテが退任した監督ポストには、ラツィオからカップ戦巧者の指揮官インザーギが招かれた。リーグMVPルカク(現チェルシー)とMFハキミ(現パリSG)の主力2人は去ってしまったが、彼らが残した移籍金約1億8300万ユーロでクラブは財政赤字の補填を行い、ローマのエースFWジェコと期待のDFダンフリース、そしてミランから司令塔チャルハノールを獲得。機動力の怪物MFバレッラと22歳ながら堅守の一角を担うDFバストーニは、カタールW杯予選を戦うイタリア代表でも中核としての働きが期待されている。
3-5-2の戦術ベースとリーグ最少失点の堅守はそのままだが、試合へのアプローチは一変。新生インテルは能動的にゲームを作り、大量ゴールを生み出す攻撃チームへ脱皮しつつある。
“優勝したのに解任”をいまだに恨むサッリ
王者の一大変化は端緒にすぎない。この夏、強豪クラブはこぞってチームの再編成に勤しんだ。
インザーギ監督の抜けたラツィオ監督の椅子には、元ユベントス監督サッリが納まった。
19-20年シーズンのスクデット監督である戦術家は、1年の休養を経ての現場復帰だ。クラブの得点記録を塗り替え続けるFWインモービレを早速使いこなしながら、開幕2戦で計9ゴールの爆発ぶり。
1年前の夏、優勝したのに解任の仕打ちを受けたサッリは「こんなチームで指導できるか」と捨て台詞を吐いたほど古巣ユーベに恨みたっぷり。11月下旬の13節に予定されている遺恨対決は必見だ。
そのユベントスは序盤から思わぬ苦戦を強いられている。