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愛憎と因縁がアツい《セリエAの7強指揮官》 ユーベを恨むサッリはラツィオ、モウリーニョはインテル3冠から11年後にローマで楽しそう 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2021/09/14 11:01

愛憎と因縁がアツい《セリエAの7強指揮官》 ユーベを恨むサッリはラツィオ、モウリーニョはインテル3冠から11年後にローマで楽しそう<Number Web> photograph by Getty Images

ローマの新指揮官となったモウリーニョ。かつてのカリスマ的な采配を永遠の都で見せられるか

 長く低迷が続いていたが、智将ピオリの就任と救世主イブラヒモビッチの活躍でついに往年の勝負強さを取り戻した昨季は27試合連続無敗記録を打ち立て、前半戦を首位で終える“冬の王者”に。

 守護神ドンナルンマ(パリSG)や司令塔チャルハノールをフリートランスファーで失ったのは痛かったが、マルディーニTD以下フロントは代理人とのマネーゲームには一線を引く毅然とした態度で補強を敢行した。

 リーグ・アン優勝GKメニャンを獲得し、ミラン愛あふれるMFディアスの再レンタルにも成功。10月に40歳になるイブラヒモビッチのバックアッパーとして実力も実績も十分のフランス代表FWジルーも入団し、EUROを制したイタリア代表DFフロレンツィも加わった。チームの象徴たるMFケシエや6年前まで家電量販店の冷蔵庫配達の仕事をしながら、サッカーの夢を諦めなかったど根性FWメシアスといった個性派も揃うロッソネロ(赤黒)軍団は、8シーズンぶりのCL出場にも士気高い。

 3シーズン目を迎える指揮官ピオリは「今季のチームが一番強い」と手応えをつかみ、開幕から無傷の3連勝。優勝争いから一歩も引かない構えだ。

“スペシャル・ワン”は11年ぶりのセリエA帰還

 ローマも開幕3連勝を上げた。率いるのは、セリエAへ11年ぶりに帰還した“スペシャル・ワン”モウリーニョだ。

 10年の偉業“トリプレーテ(3冠)”をはじめ国内外のタイトルを総なめにしたインテル時代の彼に、スクデット争いのライバルとして立ちはだかったのがローマだった。最後のスクデットから20年、タイトルを渇望する旧敵に今度は指揮官として着任したモウリーニョは、「優勝に関する質問ならインザーギにしてくれ」と三味線を弾くも、開幕戦から攻撃の柱となった新加入FWエイブラハムや同胞の新守護神ルイ・パトリシオの補強に満足顔だ。

 スペインやイングランドで栄光も辛苦も味わった彼は、毒を吐き周りを寄せ付けなかったインテル時代とは随分と変わった。永遠の都でベスパにまたがり、アウェーゲームから戻る深夜の高速特急車内で、にこやかにピッツァを頬張る彼は、今、カルチョの駆引きを心の底から楽しんでいるように思えてならない。

 米国富豪オーナーのフリードキン一家は早急な結果は求めていないというが、モウリーニョはちがう。

「うちより戦力面で上のチームはある。だが、実際の試合となればローマは勝つよ」

 2度目のイタリアを謳歌するモウリーニョ。ロマニスタもインテリスタも感傷的になること間違いなしのセンチメンタル・マッチは12月初頭の16節だ。

 “7姉妹”の中で最も攻撃的なチームであるアタランタは、昨季もリーグ最多90得点を記録した。

【次ページ】 下剋上を狙う無名のたたき上げ指導者もアツい

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