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愛憎と因縁がアツい《セリエAの7強指揮官》 ユーベを恨むサッリはラツィオ、モウリーニョはインテル3冠から11年後にローマで楽しそう 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2021/09/14 11:01

愛憎と因縁がアツい《セリエAの7強指揮官》 ユーベを恨むサッリはラツィオ、モウリーニョはインテル3冠から11年後にローマで楽しそう<Number Web> photograph by Getty Images

ローマの新指揮官となったモウリーニョ。かつてのカリスマ的な采配を永遠の都で見せられるか

 サッリの後釜として監督を任せた元天才司令塔ピルロも1年限りで解任し、チーム作りの軌道修正を迫られたアニェッリ会長とフロントは今夏、“21世紀のMr.ユベントス”である名将アッレーグリを3季ぶりに招聘、再建を託した。

ロナウドの電撃退団で早くも非常事態

 しかし、連覇の途切れた常勝軍団からは開幕ドロー発進の後、C・ロナウド(現マンチェスター・U)が電撃退団。新レジスタのMFロカテッリとFWケアンの復帰以外目立った補強のないチームは、2節エンポリ戦と3節ナポリ戦でまさかの連敗。3節を終えて勝点わずか1というスロースタートは、過去20年で2度しかない非常事態だ。

 頼みの綱は、EUROで活躍したFWキエーザや来年のカタールW杯出場を目指す鉄人主将キエッリーニとDFボヌッチといったアッズーリ組だ。王座奪回を目指しつつ、イタリア代表選手たちを中心とした骨太のチームへ原点回帰なるかが今季ユベントスの背負うテーマだろう。

智将スパレッティ招聘のナポリ、ミランもいよいよ復活か

 3節の直接対決で宿敵ユーベを破り、意気上がるのが、新たに智将スパレッティを招聘したナポリだ。

 セリエA初采配は97年のエンポリに遡る大ベテラン指揮官は、18-19年シーズンのインテル以来3季ぶりの現場復帰にもかかわらず早くもチームを掌握。流石の手練ぶりを見せつけているが、ナポリの課題は長いシーズンを通したモチベーションの確保だろう。

 04年からクラブの頭領となったデラウレンティス会長は締まり屋として有名。地元出身で絶大な人気を誇る主将インシーニェの現契約は今季限りで終了するため、契約更改が急がれるが交渉は難航中。チーム最高給のCBクリバリーと同額の年俸600万ユーロを望む主将に対し、負債を何より嫌う会長は断固拒否。交渉の展開次第ではシーズン中に両者の関係決裂もありうるため、スパレッティにしてみれば厄介な悩みの種だ。

 真剣に優勝を狙うには、長いシーズンを通してクラブと現場のチーム、ファンが一体となることが必須条件だ。ワンマッチなら王者とも十分渡り合える実力はあるだけに、老獪な新指揮官はナポリにどう安定性をもたらすか。

 今季の混戦をもたらした要因として、強いミランの復活も挙げられるだろう。

【次ページ】 “スペシャル・ワン”は11年ぶりのセリエA帰還

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