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柳田、千賀、甲斐…ホークス「豊作の10年ドラフト同期組」で遅れてきた男・牧原大成28歳の逆襲 小久保コーチも「いま、外せない存在」
posted2021/09/12 17:03
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
KYODO
小久保裕紀ヘッドコーチが「打撃の状態がいいし、ショートでもセンターでもレベルの高い守備をする。いま、外せない存在」と絶賛するのが牧原大成(28歳)だ。
なかなか波に乗れない戦いが続く中、ホークスは8月最後の試合だった宮崎でのイーグルス戦に敗れ、7月9日以来の借金生活に転落して9月を迎えた。その時点での順位は4位。ホークスがBクラスで9月戦線に突入したのは随分と遡らなければならない。九州移転後の初優勝を果たすより前の1998年以来だったから、じつに23年ぶりのことだった。
とはいえ、今年のパ・リーグは大混戦模様だ。まだ優勝をあきらめるような戦況ではない。また、ピリピリする優勝争いの経験値でいえば、ホークスが他チームを上回るのは明らかだ。
“2010年ドラフトの同期生”がお立ち台に
9月最初のゲームだった、2日の福岡・PayPayドームに舞台を移してのイーグルス戦。ズルズルと後退しないためにも、ターニングポイントといえる試合だった。
牧原大はこの日の初回、口火を切る先頭打者ホームランを放った。則本昂大の初球のストレートを弾き返した会心の一発は今季1号本塁打だった。
「狙っていたというより、ストライクを取りに来たら打っていこうと思っていた。ファーストスイングは強く振っていこうと思っていました」
少し詰まったと苦笑いしたが、身長172センチの小兵を感じさせない力強い弾道がライトスタンドへ飛び込んでいった。
好投手相手にいきなり先制点を奪えたことは、チームに大きな勇気を与えた。初回にもう1点。守りではエースの千賀滉大は走者を許しながらもスコアボードに「0」を並べた。すると5回にホークスが追加点。牧原大のヒットからチャンスを拡げ、柳田悠岐が24号3ランを放って試合の大勢を決めた。
試合後のお立ち台は牧原大、千賀の2人が上がった。