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「スケボー→スノボーは“茨の道”以上」 平野歩夢は半年後の北京五輪で金メダルを獲れるか?<現在の世界王者は19歳戸塚優斗>
text by
野上大介Daisuke Nogami
photograph byJMPA
posted2021/08/17 17:00
半年後に迫る北京五輪で“悲願の金メダル”を目指す平野歩夢。誰も挑戦しなかった“二刀流ライダー”の挑戦は続いている
「リスクが高い技に挑戦するときもそうだし、新しい技を習得するのは時間がかかることだから、その一歩目を踏み出す勇気も必要だし、そういうことに対してどうやって向き合っていけばいいのかっていう……」
平昌五輪前、このように胸中を吐露していたことがあるのだが、わずか半年足らずで完璧に仕上げるために、スケートボードで培われた大技の礎となる基礎力が大いに役立つことだろう。
さらに、平野が強くなったのは技術面だけではない。
「オリンピックを目指し始めた頃の自分を思い出せました」
「(スノーボーダーとして)戦う場を離れて(スケートボーダーとして)チャレンジャーになって、そこでの戦いを通じて雪山に戻ったときに、小さい頃の自分を思い出せるというか。本当に初心になれたんです。残された時間は短いけど、今スノーボードをやっている人たちを追い越すだけというか、追う立場になれたときのほうが気持ちもラクで。これまでは抜かれないようにすることしか考えられなかったけど、スケートボードに挑戦したことによって、最初にオリンピックを目指し始めた頃の自分を思い出せました」
スノーボーダーとして「大会でワクワクするような感覚はない」と常にプレッシャーを感じ、出走前も出走後も決して表情を緩めない。しかし、東京五輪を終えた直後の平野は満面の笑みを浮かべていた。
「半年でどこまでやれるのかっていう、これもまた挑戦」
茨どころではない険しすぎる道を掻き分け、夢に向かう歩みはこれからも続く。東京五輪を終えてSNSに投稿された彼の言葉に、そのすべてが凝縮されていた。
「最近こんな事を思う。人は色んな負荷がかかればかかるほど、身軽になるんじゃないかって」
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