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ブティック店長候補から6年でチェルシーの正GKになった、エドゥアール・メンディの謙虚な自己分析「僕は控えGKで状況は明確だ」 

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posted2021/08/15 11:01

ブティック店長候補から6年でチェルシーの正GKになった、エドゥアール・メンディの謙虚な自己分析「僕は控えGKで状況は明確だ」<Number Web> photograph by L’Équipe

CLのグループステージではチェルシーの前に在籍したレンヌと対戦。2−1で勝利を収めた

――GKというポジションを選んだのは、仲間たちに勝利を与える喜びがあるからですか?

「それが僕の根本にある。GKを選んだ理由のひとつでもある。シュートを止めて決定的な仕事をすればチームが喜びに包まれる。また押されて苦しい時間帯にシュートを阻止すれば、チームを元気づけることができる。後ろがしっかりしているとわかれば、彼らも安心できる。僕だけしか頼りにならないときに、双肩にのしかかる責任感に僕は魅せられた。それ以上に大事なことが他にあるか? 僕は全体の一部でありたいし、成功メンバーのひとりでありたいと思っている」

――過去へのリベンジの気持ちもいくらかありますか?

「たしかに2014年には怒りを感じていたし2015年には不安な時期もあった。でも『彼らが間違っていたことを見せてやれ! 僕を獲得しなかったこと、放出してしまったことを後悔させてやれ』と思ったことは一度もなかった。ただ、今の僕があるからそう思えるのも事実だ。ここまでの道のりが、僕を今のような人間にしたしGKにした。プロサッカー選手は、たとえ2部リーグであれ特権階級であることを、僕は相対化し理解することができた。閉じた世界の外に出たときに、はじめて自分がどれだけ恵まれていたかがわかる」

――あなたに苦い思いをさせた代理人に、思い知らせたい気持ちはありますか?

「それはないね。残念ながら彼らは自分の利益しか考えていないけど、すでにその報いは受けていると僕は思いたい。僕は自分の人生を生きてきて、そこからいろいろなものを得て今の状況に満足している」

遅咲きGKの野望

――29歳のあなたはトップレベルへの到達が遅れました。プレッシャーは感じていますか?

「すべての過去があって、僕はこのレベルに達することができた。新たな段階を迎えるたびに適応してきた。プレッシャーはなかったし、何かに固執することもなかった。適切なときに適切な場所に行くことができた。リーグドゥで優勝した後にELを戦い、今はCLに出場している。アフリカ・ネーションズカップにも出場し、このまま予選を突破すれば2度目の出場も果たす。ワールドカップにも出られるだろう」

――夢が実現したという思いはありますか?

「多くの選手たちが15年かけて成し遂げることを、僕は4年半で達成した。客観的に見たら『とんでもないことだ!』ということになる。でも別の面から見ると、それは僕がこれまで成し遂げてきたことの結果だ。他人から奪い取ったわけじゃない。僕が求め続けて得たものなんだ!」

【前回を読む】「クラブもなければ仕事もない」CL王者チェルシーの守護神エドゥアール・メンディが職安に通った6年前の無職の日々

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