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ブティック店長候補から6年でチェルシーの正GKになった、エドゥアール・メンディの謙虚な自己分析「僕は控えGKで状況は明確だ」
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フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/08/15 11:01
CLのグループステージではチェルシーの前に在籍したレンヌと対戦。2−1で勝利を収めた
「変な気持ちになることはないな。GKにとって失点は避けられない。ただ、やはり普通ではいられない。
プロになってから、僕は気持ちを完全に切り替えた。単にゴールを守るだけのGKよりもずっとアグレッシブになり、前で守る選手たちはたとえ抜かれても、僕が後ろにいるからと安心できるようになった。ランスでは最少失点記録を塗り替える(21点)ことができた。だが、その後は、苦しい時期を迎えた。僕らも人間だ。気の緩みがあった。失点にばかり気を取られて、フランスチャンピオン(リーグドゥ)であることをすっかり忘れてしまった。監督のダヴィド・ギオンは僕にこう言った。『君はいったい何を気にしているんだ? チームのレギュラーでフランスチャンピオンだ。それでも満足できないのか?』と。彼の言葉で少し我に返り、どうすべきかを考えられるようになった」
ボーナスの問題じゃない。僕はチームに貢献したいだけ
――ポルトとのCL準々決勝第2戦では、メフディ・タレミが94分に決めたゴールにずいぶん不満があったようですが?(試合は1対0でポルトの勝利だが、2試合合計2対1でチェルシーが準決勝進出)
「あのゴールについてはあまり考えないようにしている。素晴らしい得点で何もやりようがなかった。問題はそこに至るまでの過程だった。クロスをあげた選手への距離をもっと詰めるべきなのに、疲れのためにそれができず落ち着いてクロスをあげる余裕を与えてしまった。その後ではもう遅い。だから僕は怒った」
――SNSでは「あのゴールさえなければメンディがクリーンシートボーナスをもらえたのに」というコメントが多く見られました。
「たしかにそのメッセージはたくさん届いたけど、まあ笑い話だね。クリーンシートを達成するためにボーナスは別にいらない。逆に自分が金を払ってでも失点は避けたい。失点さえしなければ、少なくともチームが負けることはない。ボーナスの問題じゃない。僕はチームに貢献したいだけだ」
――とはいえあなたのクリーンシートは大きな話題です。ストライカーが自分の得点を数えるように、あなたも回数を数えていますか?
「数が多いことはわかっている(4月27日時点でプレミアリーグでは15回。CLで7回)けど数えてはいない。GKにとって大事なのは、目の前でフィニッシュしようとするストライカーにどう対処するかだ。最終的にシュートを止めるのが僕の役目だが、前には10人の敵がいて組織的な動きで僕らの守備を壊そうとする。それを防ぐのはチームのパフォーマンスで、僕ひとりだけで対処できるものではない」