プロ野球PRESSBACK NUMBER
“ミラクル星稜”野球を離れた同期17人の思いも背負って…ロッテ岩下大輝が高校野球で学んだ「諦めない心」
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2021/08/03 11:00
甲子園のマウンドをバックに写真におさまる岩下。高校野球での悔しさが今も原点として心に刻まれている
甲子園での悔しさ。それがプロになった岩下の原点であることは今も変わらない。プロ入り後は決して順風満帆な日々ではなかった。プロ1年目の11月に右肘を手術し、2年目のシーズンを棒にふった。その後、腰も手術した。なかなか投げられない日々を乗り越えて、2019年から一軍ローテーション入りを果たした。
そして思い出の聖地に帰ってきた。プロになってから見る甲子園のマウンドからの光景は懐かしくもあり、また違う緊張感を感じた。
「いつも投げる時は緊張する。ただ甲子園は懐かしい想い出のあるマウンド。緊張感プラス高揚感。いい形でゲームに入れたと思う」
そんな思い出の甲子園でのタイガースとの試合は5回を投げて被安打4、3失点。残念ながらこの試合こそ負け投手になったが、前半戦だけでチーム最多の8勝。井口資仁監督も「前半戦は岩下がよくやってくれた。毎試合、安定した投球を見せてくれた。彼の存在は大きい」と目を細める。
佐々木朗希らのストレートが刺激に
前半戦の投球を本人は「ストレートが強くなったかなと思う。ストレートでファウルをとれるのでカウントが優位になる。そしてスライダーとカーブでストライクをとれるようになったことで組み立てをしやすくなった」と振り返る。昨季まではストレートと決め球のフォークの組み立て中心だったが「それでは体力が切れた時点で終わり」。先発として長いイニングを投げるために球種を増やすことが重要だと再認識し、オフの間に磨いてきた。
また、ストレートの強度が上がったのは投手陣の中での相乗効果とも分析している。
「みんな、速い球を投げる。自分もストレートを強くしないといけないと刺激になった」
プロ2年目の佐々木朗希投手、東北楽天ゴールデンイーグルスから移籍してきた小野郁投手など、常時150キロを超えるストレートを繰り出す仲間たちの存在が刺激となった。