Jをめぐる冒険BACK NUMBER
久保建英にからかわれるのも“重要任務” 橋岡大樹「酒井選手も信用してくれて…」スペインの闘将2人に憧れ、尾崎豊を熱唱するムードメーカー
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2021/07/31 11:07
フランス戦では酒井宏樹と替わった直後に良質なクロスを上げる場面もあった。橋岡大樹にとって東京五輪、最大の見せ場がNZ戦でやってくるはず
「五輪が終わってからでいいんじゃ」と言われたが
「みんなから『オリンピックが終わってからでいいんじゃないか』と言われました。でも、難しい環境に身を置いて、より成長した姿でオリンピックに臨みたいと思ったので、行く決断をしました」
自分との勝負に、橋岡は勝った。
ベルギーの地で右ウイングバックのポジションを掴み取り、約3カ月のプレーで6試合に出場して3アシストと、目に見える結果を残す。そして6月の親善試合を経て、東京五輪メンバーの座を見事に射止めてみせるのだ。
「ベルギーには、最初から試合に出てやる、という気持ちで行きました。その結果、試合に出られて成長した部分がたくさんある。一番成長したのはメンタルですね。以前はミスをしたあとに引きずることがあったんですけど、今は、次にいいプレーをすればいいや、と切り替えられるようになりました」
セルヒオ・ラモスとプジョルに憧れる理由
プレーヤーとしての魅力はセンターバックと右サイドバックないし右ウイングバックをこなすユーティリティ性と対人プレーの強さ。自身よりも大柄な選手、スピードのある選手に対して臆せず食らいつき、深いタックルで突破を阻む。
憧れの選手の名前を聞けば、より橋岡のプレースタイルが理解できるはずだ。
パリ・サンジェルマンのセルヒオ・ラモスと、元バルセロナのカルレス・プジョル――。
35歳にして今なお世界最高のセンターバックのひとりである前者はまだしも、後者は2014年にスパイクを脱いだレジェンドである。22歳の橋岡が、全盛期のプレーをじっくり見たわけではないだろう。
だが、橋岡には彼らに憧れる確固たる理由がある。
「プジョルはうまいタイプではないですけど、ハートのある選手。セルヒオ・ラモスは技術も高いですけど、それプラス、闘う気持ちを前面に出してプレーするところがカッコいい。ふたりの闘っている姿に僕は心惹かれるというか、男らしいなって。僕もそういう闘争心あふれるプレーヤーを目指したいと思っています」
思い出すのは、2019年に浦和の先輩である槙野智章から聞いた言葉だ。