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「終わったな」「何やってるんだろう」 “27歳初出場で金メダル”新井千鶴の「積み上げてきたものが違う」柔道人生
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2021/07/29 17:04
金メダルを手に笑顔を見せる新井千鶴。思うように結果が出ない時期を経て、27歳でようやくここまでたどり着いた
「リオまでの自分とは積み上げてきたものが違います」
その後も低迷したが、やがて気持ちを取り戻すと、2017、2018年世界選手権を連覇。再び五輪代表の有力候補にのしあがったものの、2019年世界選手権で優勝を逃した。リオの前年と重なる風景に、「何やってるんだろうと思います」と悔しさを表に出した。
ただ、同じ過ちはおかさなかった。
2020年2月、選考にあたって重要な意味を占めるグランドスラム・デュッセルドルフで優勝。代表を決定づけた。
そして金メダルを手にした今、こう語る。
「リオまでの自分というのは、なんかがむしゃらにやっていてリオの選考会まで行った感じでした。リオを逃して、そこからもう一度日本のチャンピオンになって代表に返り咲き、世界選手権の切符を取って1年1年、連覇の経験だったりを積み上げてきました。積み上げてきたものが違います」
失意をばねに、より積み重ねてきた5年間。なによりも「信念をぶらさずにやってきました」。全国大会に出られなくても、もっと上手になるためにはと自ら考え、あきらめなかったからこそ花開いた2021年だった。
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