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号泣する桜庭和志、高田延彦のハッピーエンド、伝説のミルコvs.ノゲイラ… カメラマンが目撃したMMA東京ドーム大会の衝撃の瞬間
posted2021/06/11 11:03
text by
長尾迪Susumu Nagao
photograph by
Susumu Nagao
6月13日に行われる「RIZIN.28」はMMAの大会としては18年ぶりの東京ドーム大会です。長年格闘技の撮影を続けてきたフォトグラファーの長尾迪氏が、自身の写真と共に「東京ドームと総合格闘技」の歴史を振り返ります。
新日本プロレスでは正月の東京ドーム大会が恒例となっているが、MMA(総合格闘技)の東京ドームイベントは、1997年10月に高田延彦とヒクソン・グレイシーの試合をメインイベントにPRIDE.1として開催したのが、いちばん最初である。そして2003年11月に行われた試合を最後に、現在に至るまでMMAの試合が東京ドームで行われることはなかった。
今週末の6月13日、RIZINが約18年ぶりにドームに帰ってくる。温故知新というわけではないが、東京ドームでのMMAイベントを写真で考証してみたい。
ここで掲載している全ての写真は、フイルムカメラで撮影したものである。カメラ4台をリングサイドに持ち込み、ラウンド間にフイルム交換をしていたことも、いまとなってはよい思い出だ。フイルムの管理が悪くて変色しているものや、デジタルカメラに比べると画質がよくない写真も多い。それも味のうちだと思って、ご容赦を願いたい。
PRIDE.1
MMAとして初めて東京ドームで行われたイベント。メインは高田vsヒクソン。観客の多くはプロレスファンで、高田が負けた瞬間、大きなため息と悲鳴がドーム内に響いた。花道を引き揚げる高田に対しては、情け容赦ない罵声が浴びせられた。私は格闘技を長く撮影していたので、敗者に対するこの態度は許せなかった。
<高田選手が弱いのではない、何でもありの試合を、何十年も続けている、グレイシー一族が強いだけなのだ>
このことは、後々ファンにも認識されるようになった。