球体とリズムBACK NUMBER
18歳ペドリのような才能育成、イタリア的に楽しむ、イングランドの“あるエキスパート”… EUROから日本が学べそうな“3要素”って?
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byREUTERS/AFLO
posted2021/07/19 17:02
イタリアの優勝で幕を閉じたEURO。ペドリらのプレーを含めて日本と欧州の違いが見える4週間でもあった
20年ほど前にドイツが育成改革に着手し、2014年のW杯優勝に結実。今大会のイタリアの優勝も過去10年に及ぶ育成改革の成果でもあるし、準優勝したイングランドも同様だ。おそらく他の欧州諸国もそれぞれに、現代的なメソッドで若手を伸ばし、鍛えているのだろう。
ペドリのように、シンプルながら効率の良い技術を
かつてのように各国代表の特色が薄れた現在、何よりも重視されるのは技術だ。だがそれは、足元周辺だけのスキルという意味ではない。日本には見せ物的なテクニックが持て囃されるような風潮が今だに残っていると感じられる時があるが、この競技で本当に必要とされるテクニックは違う。
それこそペドリのように、シンプルな正確性や自分の間合いの作り方、タイミングと強さが完璧なパスなど、効率の良い技術が求められる。そしてレベルが上がれば上がるほど、パスやクロスの精度とスピードが違うことも、あらためて感じられた。
頭脳や精神面も鍛えられ、大舞台でも普段通りの思考ができ、高めた能力を十全に発揮できる──日本にもそんな若手が増えることを期待したい。