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ブラジル柔道男子代表が日本人女性・藤井裕子を監督に据えた真相 「パラダイムを壊してほしい、と伝えた」《東京五輪》
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byAFP/AFLO
posted2021/07/14 17:01
2018年頃の藤井裕子監督。そのキャリアは非常にユニークだ
ネイ・ウィルソン強化部長:柔道の男女代表も7月中旬から約2カ月半、「ヨーロッパ・ミッション」に参加した。選手たちは、ポルトガルなど欧州の選手と嬉々として練習を積み、地方の競技会にも出場した。
昨年10月以降はようやく国内で代表合宿を組むことができるようになり、欧州での国際大会も再開され、我々も出場できるようになった。
それでも、通常は運航されていたブラジルからの直行便の乗り入れを拒否する国もあり、いつもより移動時間が長くなったり、多くのPCR検査を義務付けられたりした。そもそも、柔道の強豪国の多くは東アジアと欧州にあり、ブラジルは両方の地域から遠いというハンディがあった。パンデミックが、それに追い打ちをかけたのだ。
今年に入ってからは、ほぼ毎月、国際大会への参加と国内での代表合宿を繰り返し、急ピッチで強化を進めている。強豪国の選手との差は、徐々に縮まってきたと考えている。
「東京を集大成」にする五輪メダリスト
――2012年ロンドン五輪、2016年リオ五輪で100kg超級に出場していずれも銅メダルを獲得し、34歳で3度目の五輪を迎えるラファエル・シウバ選手は、コロナ禍で五輪に参加することをどう考えていますか?また、どのような準備をしてきたのでしょうか?
シウバ:自分にとって、東京五輪はこれまでの自分の柔道人生の集大成とすべき大会。日本が万全の対策を取ってくれることを信じ、また自分としても最大限の準備と感染対策を行なって大会に臨み、三度目の表彰台を目指す。
最大のライバルは、(フランスの絶対王者テディ・リネールら)対戦相手ではなく自分自身だと考えている。
コロナに罹患した23歳が身に染みた“恐怖”
――2017年ジュニア世界選手権66kg級の覇者で、23歳にして初の五輪に挑むダニエル・カルグニン選手は?