Jをめぐる冒険BACK NUMBER
堂安律の圧巻2点目、久保建英や林大地、三好康児の気になった点は…U-24ホンジュラス戦診断 “金メダル候補”スペイン戦を最高の試金石に
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byNaoki Morita/AFLO
posted2021/07/13 11:42
ホンジュラス戦は堂安律の2ゴールなどで3-1で勝利した
「特に前線の選手たちには、行けるところまで行ってもらい、試合を終えて体力を回復させて、また突き詰めるということをやってほしいとも話しました」
2-0とリードしていたことに加え、夏場のゲームだから、後半はボールをしっかり握ってゲームをコントロールし、相手を動かして体力を奪い取るのがセオリーだろう。
“大人の試合運び”以上に大事だったもの
しかし、今は7月22日に控える南アフリカとの初戦に向けて、連係面の確認はもちろん、コンディションを向上させる時期――。
メリハリをつけ、“大人の試合運び”をする以上に大事なものがあったわけだ。
今合宿がスタートした際、本番に向けて最も大事なテーマとして吉田が挙げたのも、コンディショニングだった。
「やらなければならないのは、コンディションをしっかりいい状態に持っていくこと。どんなにいい準備をしたとしても、コンディションが悪ければ不利になる。実力のある選手も揃っているので、コンディショニングが一番の鍵になるかなと」
仕上がりの良さを感じさせた堂安のプレー
センターバックとしてフル出場した冨安が「80%ぐらいまで来ています」、左サイドハーフとして先発した三好康児が「試合体力はまだ100%ではない」と明かしたなかで、仕上がりの良さを感じさせたのは、堂安だ。
6月シリーズでも見せたように、この日もトップ下の久保建英と巧みにポジションを入れ替えながらゴール前に侵入し、40分には1トップの林大地のポストプレーから、右足でゴール右隅に鮮やかに決めた。
「(利き足である)左足のほうに落としてくれたら、もっと集中せずに打てていた」という冗談も飛び出たが、それ以上に圧巻だったのが85分のゴールだ。
左サイドにいた相馬勇紀にボールが渡った瞬間に、敵陣中盤からゴール前ニアサイドに向かって走り込み、クロスに滑り込んで合わせてゴールネットを揺らしたのだ。
決定力はもちろん、85分という時間帯にゴール前までしっかりスプリントできたのは、堂安自身にとって収穫だったに違いない。
「精神的にはいつもどおり自然体でいられているので、いいメンタリティで過ごせています。コンディションに関しては、少し実戦から遠ざかっているので、前回(7月8日)の大学生との練習試合を経て、少しずつ整ってきています」
堂安がこう語ったのは、ホンジュラス戦前日のことだが、自らの言葉を証明するかのようなパフォーマンスだった。