Jをめぐる冒険BACK NUMBER
堂安律の圧巻2点目、久保建英や林大地、三好康児の気になった点は…U-24ホンジュラス戦診断 “金メダル候補”スペイン戦を最高の試金石に
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byNaoki Morita/AFLO
posted2021/07/13 11:42
ホンジュラス戦は堂安律の2ゴールなどで3-1で勝利した
先制アシストの久保。ただ全体的に見ると
一方、気になったのは、久保建英だ。先制点を導くFK――壁の裏にピンポイントで落として吉田のゴールをアシスト――は見事だったが、それ以外の場面では、パスが引っかかったり、ドリブルを止められたりと、全体的にプレー精度を欠いた印象だ。シュートも開始早々、DFに阻まれた1本に終わっている。
ただし、言うまでもなく、久保も欧州組だ。コンディションもプレー面も、万全でないのは間違いない。ここから次の親善試合を経て、コンディションとプレーのフィーリングをどう上げていくのか、注目したい。
林と三好も悪かったわけではない。ただ……
また、林と三好についても触れないわけにはいかないだろう。
いや、プレーが悪かったわけではない。それどころか、堂安のゴールをアシストした林は決定的なシュートを2度放ったし、特に前半、ゴール前に何度も顔を出した三好も2度のビッグチャンスを迎えた。
だが、そのチャンスを、ふたりともモノにすることができなかった。
決めるべきところで決めないと――。そのひと言に尽きるのだ。
オーバーエイジが合流した6月シリーズを経て、レギュラーメンバーは固まってきた。今合宿のトレーニングを見ていても、GK谷晃生、吉田、冨安、酒井、中山雄太、遠藤航、田中碧、堂安、久保は必ずレギュラー組に入っている。
こうして顔ぶれが定まってきたなかで、数少ない流動的なポジションが左サイドハーフと1トップだ。
左サイドハーフは相馬勇紀と三笘薫が、1トップは上田綺世と前田大然がポジションを争っているが、この合宿では上田は別メニューで調整中、前田は10日まで脳震盪の回復プログラムを行っていた。
さらに、相馬と三笘はACLに参戦していて合流が遅れたため、林と三好がスタメン起用されたという経緯があった。
こうしたチャンスを活かせるかどうか――。それがチーム内の競争力を高めるばかりか、それによって五輪本番でのスタメンの座を引き寄せられたなら、彼ら自身のサッカー人生をも大きく変える可能性があった。
チームのためにも、自分のためにも、決めておきたいところだった。
結果として3-1で勝利を収めたが、日本が万全ではない以上にホンジュラスはベストから程遠い出来だったから、冨安が「今日はたまたま勝てた」という印象を持つのも当然だろう。
次の親善試合は7月17日に神戸で行われるスペイン戦だ。これが本大会前最後のテストマッチとなる。