猛牛のささやきBACK NUMBER
「トライさんの技ですね」山本由伸&宮城大弥が信頼する伏見寅威のリード【大学時代は菅野智之の女房役】
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKYODO
posted2021/07/08 11:03
ベンチで左腕・山崎福也に迎えられる伏見寅威(31歳)。プロ9年目の今季、女房役として好調なオリックス投手陣を支えている
そんな中、2019年6月18日の巨人戦で、左アキレス腱断裂の大怪我を負った。
その時、聞こえてきたのは「もうキャッチャーはできないでしょ」という声だったという。
それが伏見の反骨心に火をつけた。
「何をわかってそういうことを言うのかなと。すごく嫌な気持ちになりました。でも、そういう声が自分の中でモチベーションになったというか、『こういう人たちを見返してやるんだ』という気持ちでモチベーションを保っていました。
キャッチャーとして入団して、でもそれまでキャッチャーとして誇れるものは何もなかった。そういう意味でも、絶対キャッチャーとして復活するんだ、試合に出るんだという気持ちは一層強くなりました」
掴んだキャッチャーとしての自信
気の遠くなるようなリハビリを乗り越え、怪我から1年以上経った昨年7月9日の日本ハム戦で、伏見は捕手としてスタメン復帰を果たす。8月以降は先発マスクを被る試合が増えていった。
昨シーズン後、伏見はこう語っていた。
「今までは、キャッチャーで出ることがあまりなかったので、正直、自分に自信を持てないところがあったし、僕がキャッチャーだと試合に勝てないみたいな、イメージというか、そういう評価をされていたと思うんですけど、今年はキャッチャーとして試合に出て、勝ったというところで、すごく自信になりました」