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「トライさんの技ですね」山本由伸&宮城大弥が信頼する伏見寅威のリード【大学時代は菅野智之の女房役】 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2021/07/08 11:03

「トライさんの技ですね」山本由伸&宮城大弥が信頼する伏見寅威のリード【大学時代は菅野智之の女房役】<Number Web> photograph by KYODO

ベンチで左腕・山崎福也に迎えられる伏見寅威(31歳)。プロ9年目の今季、女房役として好調なオリックス投手陣を支えている

 伏見にとって、カーブとは。

「前後のつながりを切るというようなイメージですね。僕はそう思って使っています。例えば、まっすぐまっすぐで行って、フォーク行って、みたいに、速いボールを続けるとイメージがだいたいついてきちゃうんですよ。でも間に、カーブみたいな球でピヨーンって、ストライクや空振りを取ったら、バッターはその次の球、何がくるのかすごく迷うんですよね。速い球か、もういっちょ遅い球か、曲げるのか……とか、選択肢が一気にボーンと増える。そんなイメージです」

 その考え方の原点は、山崎福也にあるという。山崎は大きく縦に割れるカーブを武器とする左腕だ。

「僕が最初に組み始めたのがサチヤだったんで。彼はカーブが特徴というか、軸というか。だから『カーブってこういう効果があるんだな』とか、『こういう時に使ったら効果的なんだな』と感じて勉強していくうちに、ですね。まあでも宮城や由伸のカーブはもう、いいから使う、という感じですけどね」

 伏見が先発でマスクを被る機会が増えたのは、昨年8月21日に中嶋聡監督が監督代行に就任してからだが、それ以前も山崎の登板日には先発を任されることが多かった。そこで得た気づきを活かし、先発定着につなげた。

DHや内野手としてプレーした時期も

 今季は、序盤戦は頓宮裕真が先発する機会も多く、現在は田嶋大樹など先発投手によって若月健矢が先発を任される試合もあるが、伏見がもっとも多くマスクを被っている。それはプロ9年目にして初めてのことだ。

 伏見は東海大学から2012年のドラフト3位でオリックスに入団した。東海大時代は菅野智之(巨人)ともバッテリーを組んだ、世代を代表する捕手だった。しかしオリックスでは、入団当時は伊藤光(現・DeNA)が正捕手を務めており、その後、若月が先発に定着。伏見は勝負強い打撃を評価されていたが、捕手としての出場機会には恵まれず、DHや一塁手、三塁手として出場していた時期もあった。

 その頃は、まずは一軍に居場所を築くため、「キャッチャーとして出たい」というこだわりを封印し、その日求められた役割に徹していると語っていた。

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