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自己最速“年間100勝”到達のルメールが上半期をプレイバック! グランアレグリアは「あんな手応えでも伸びるんだ!?」
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySankei Shinbun
posted2021/07/09 06:00
サトノエルドールでの巴賞1着で自己最速の年間100勝到達となったクリストフ・ルメール(中央)
それでも続くヴィクトリアマイルでは本来の彼女の力を発揮した。2着から8着までが0秒2差の中に収まる激しい争いを尻目にただ1頭、2着に0秒7差、4馬身の差をつけてゆうゆうとゴール。昨年の安田記念でアーモンドアイをちぎった舞台でそのスピード能力を存分に見せつけた。
「やっぱり1600メートル戦なら強いです。この距離で普通に走ってくれれば強いのは分かっていたけど、本当に素晴らしかったです」
「あんな手応えでも伸びるんだ!?」
ところが続く安田記念では思わぬ結果が待っていた。ヴィクトリアマイルと同じ東京の芝1600メートルで、昨年も勝ったレースとなれば大きな期待が懸かるのは当然。ファンは彼女とルメール騎手のコンビを単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持して迎えた。そして、鞍上もまたファンと同じように「期待していた」と言う。
「いつも通り走ってくれれば大丈夫だろうという気持ちで臨みました」
「大丈夫だろう」はすなわち「勝てるだろう」という意味。ルメール騎手はレース前の心境をそう述懐した後、更に続けた。
「でも、スタートしたらすぐにいつもと違うと感じました。いきなり大きな息をして、追走をするのも苦しい感じでした」
気付くと目の前には実績馬のインディチャンプがいた。
「少し気合を入れて追走すべきか、この手応えなら無理せずに控えるか、どちらが良いか一瞬、迷いました」