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母となった横峯さくら「私が守らなきゃいけないなって」出産後わずか3カ月でツアー復帰、その過程をメモに残した理由
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2021/07/07 11:00
満開の桜の下で息子を抱く母・横峯さくら。制限ある中での撮影となったが、幸せなひとときを写真におさめることができた
横峯は、ゴルファー人生の最大の目標であった国内ツアーの賞金女王を2009年に達成し、燃え尽き症候群になった時期があったという。主婦になることも子供の頃からの夢の1つだったため、2014年の結婚を機に「引退」の2文字が頭の中にチラつき始めた。
「当時は、ゴルフかプライベート、女子ゴルファーはどちらかを選ばないといけないと思い込んでいました」
それが、2015年から米ツアーに参戦したことで考え方がガラッと変わった。トーナメントにはチャイルドケアが常駐し、ママさんゴルファーが仕事しやすい環境が整っていることや、その制度を利用して出産後も成績を残す選手がたくさんいた。さらに遠征先のホテルで、選手とその夫と子供が幸せそうに食事をしている様子を目撃したことで、「仕事と子育てを両立しても良いんだ」と視野が一気に広がった。
家族で“同じ方向”を見る
アスリートとはこうあるべき、母親の役割はこうあるべきといった固定観念は消え、それよりも、どうしたら自分や家族が幸せなのか、ことあるごとに夫と話し合い、家族の方向性を確認した。横峯にとっての幸せは、母親になっても大好きなゴルフを続けること。徐々に「いつか子供を産んでもゴルフを続けたい」という思いが強くなった。
真剣に悩んだ時期があったからこそ、「今、試合に出場したり、ゴルフが出来ていることの幸せ」を実感している。「やっぱり、自分1人で子育てしながら、ゴルフもするのは現実的じゃありません。“同じ方向”を見て、サポートしてくれる夫がいるから成り立っています」
その方向とは、優勝することだ。次の優勝は重要な意味をもつと信じている。