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フランス相手に世紀の大金星を挙げたスイスの英雄 小柄な守護神・ゾマーが“欧州屈指のGK”である理由 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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posted2021/07/02 17:02

フランス相手に世紀の大金星を挙げたスイスの英雄 小柄な守護神・ゾマーが“欧州屈指のGK”である理由<Number Web> photograph by Getty Images

身長183cmとGKの中では小柄なゾマーの活躍でスイス代表は快進撃を続けている

 被シュート時、あるいは1対1の場面も、ゾマーは可能な限り状況を自分のコントロール下に置くことができる。相手の動きやポジションから次のプレー選択肢を読み取り、ゴールが決まる可能性をぎゅっと縮めていく。セーブの可能性を高めるため、相手選手が意図したプレーができないような局面に持っていくのがうまいのだ。

 ゾマーはとにかく研究熱心で、相手の動きからどんなシュートパターンがあるかを常に学んでいるという。そうした努力もあり、状況を読み取る能力はこの数年間で大きく成長している。

敗れたイタリア戦後に第2子が誕生

 ゴール前では冷静沈着なゾマーだが、その日だけは落ち着いてはいられなかった。グループリーグでイタリアに0-3で敗れた後、チームから一時離れてドイツへと向かっていた。実は2人目のお子さんの出産予定日だったのだ。残念ながら出産の瞬間には立ち会えなかったが、到着後に病室で奥さんと赤ちゃんに対面することができた。

「もちろん、間に合ったらいいなと願っていた。移動は大変だったけど、病院に到着したときは喜びでいっぱいだった。それ以外のことはもう全部忘れてしまっていたよ。奥さんと赤ちゃんを抱きしめることができた。本当に素敵な瞬間だった。子供たち同士も初めて出会うことができた。これ以上素敵なことはないよ」

 史上初のベスト8進出を果たしたスイスは、さらに上を目指して準々決勝でスペインと対戦する。スイス国内はかつてないほど盛り上がっているし、チームのモチベーションも最高レベルだ。

 充実の日々を過ごすゾマーは、これまでと変わらず、冷静に、地に足をつけて、自分のパフォーマンスと向き合い続けていくことだろう。

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