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警察官を目指したマジメな若者が、ドイツ代表の中心選手に… ゴセンスの普通じゃないキャリアとは
posted2021/06/29 18:10
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
EURO2020を戦うドイツ代表メンバーの中で、開幕前に誰よりも無名だったのはロビン・ゴセンスではないだろうか。
ブンデスリーガ育成アカデミーでプレーしたことも、世代別代表でプレーしたことも、ドイツのプロクラブでプレーしたこともない。
代表チームはゴセンスにとって未知の世界だった。
ドイツのプロクラブで一度もプレーしないで代表に選ばれたのは、2004年のロベルト・フートとトーマス・ヒッツルスペルガー、2014年のシュコドラン・ムスタフィと、過去に3人しかいない。
今回の代表チームにおいて、これまでゴセンスと一緒に一度でもプレーしたことがある選手は、1人もいなかった。
ゴセンスのキャリアはかなり独特だ。オランダとの国境近いエンメリッヒで育った彼は、地元のアマチュアクラブでずっとプレーしていた。一度ドルトムントU19のトライアルを受けたことがあるが、不合格。
7歳の時、祖父がパトカーに乗せてくれた
プロの世界は遠く離れたところにあった。祖父が警察官だったため、警察官になろうと思っていた頃もあったという。
「7歳の頃、祖父がパトカーに乗せてくれたことがあったんだ。あの頃は、祖父のような警察官になりたいと思ってたんだ」
実際に履歴書を送ったこともある。一次審査を突破したこともある。しかし、ちょうどその頃に初めてプロ契約を結ぶことができたので、サッカー選手としての道を歩むことを決めたのだ。
オランダ1部フィテッセのスカウトの目に留まり、U19でプレー。その後ヘラクレスでプレーし、2017年にイタリアのアタランタへ117万ユーロ(約1億5000万円)で移籍を果たしている。その後アタランタでレギュラーとして活躍し、3年連続CL出場に貢献するなど確かな足跡を残している。