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“喧嘩別れ”ではない名将からの巣立ち…冨安健洋26歳はどう進化するか「再現性より創造性かな」日本代表での即答が取材記者に今、響くワケ

posted2025/09/04 17:03

 
“喧嘩別れ”ではない名将からの巣立ち…冨安健洋26歳はどう進化するか「再現性より創造性かな」日本代表での即答が取材記者に今、響くワケ<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

冨安健洋はここ1年以上日本代表未招集だが、最終ラインにおいて欠かせないキープレーヤーである

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph by

Kiichi Matsumoto

DF冨安健洋(26歳)がアーセナル退団が発表される前、MF遠藤航(リバプール)のイベントに出演して語ったこととは。〈NumberWebレポート/全3回。第1回からつづく〉

アーセナルと名将アルテタから学んだこと

 スペイン生まれでアーセナルを率いる名将ミケル・アルテタについて、4シーズンにわたって指導を受けた冨安健洋は今年6月のトークイベントのなかで、こう話した。

「僕が入った頃は、チェスみたいに『こうして、こうして』みたいな感じで指導してくれる監督でした。僕自身、それを正しいと思って勉強させてもらってきました」

 この言葉は冨安が、自身に英才教育を施してくれたアルテタをリスペクトしている証拠だろう。過去にも紹介したが、アルテタから学んだ最先端のサッカーを、古巣であるアビスパ福岡のアカデミーの選手たちに伝える特別レッスンをしたこともある。それほどまでに、冨安はアルテタをリスペクトしていた。

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 ただ冨安は今、こう考えているという。

「戦術がしっかりあるから強いとも思わないです。チーム戦術がなくても、その分、選手が感じたままにプレーできるというメリットも出てくるので……」

 これは一体どういうことか。冨安の話をしっかり理解するためには、以下のコメントを読み進めてみてほしい。

「アーセナルだと、チーム全体11人の立ち位置が重要になってきます。仮に、僕が違う場所にいたかったとしても、チーム戦術的に『そこではなくて、別の場所にいないといけない』ということもあります(もちろん、その方針に対して異論はない)。代表の時は逆に、自分がいたいところというか、自分の感覚に合っている場所に立ち位置を取るようはしています」

冨安の考えの変化は「守破離」では

 アーセナルと日本代表を例に挙げているが――冨安は優劣をつける二元論でとらえていない。「差異・違い」に過ぎないと考えるようになった。

 思考の変遷を踏まえたうえで冨安は今、こう捉えているのだ。

「僕は『(過去の自分は)戦術に縛られていたな』と感じる時期もあるので。そこはバランス(戦術で固める部分と選手の判断を尊重する部分)を見つけることが必要だなと思います」

 冨安の考えの変化――むしろ、進化と言えるべきものだが――を聞いて、想起せざるを得ないのは、武道や芸道の世界で語られる、以下のような成長過程の話だ。

【次ページ】 冨安の考えに、遠藤も同意した

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