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ベルギーのスゴさは攻撃陣+フェルマーレンら「守備マスター」 ロナウドらポルトガルに“シュート24本浴びても1-0”【EURO】
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2021/06/28 17:00
ベルトンゲン、フェルマーレンらの堅守でC・ロナウドを完封してEURO8強進出を決めたベルギー。優勝候補最有力なのは間違いない
トルガン・アザールの大仕事
以降は両者ともになかなか敵陣深く攻め入ることができず、ポルトガルはサンチェスやパリーニャのミドル、ロナウドのFKで活路を見出そうとする。中盤をパスで攻略することが難しいと感じたのはきっとベルギーも同じで、トマ・ムニエが右足アウトサイドで惜しいミドルを放つ。
そして前半終盤に、最終ラインのロングフィードをルカクがボックス内で収め、デブライネにパス。これは通らなかったが、こぼれ球をムニエが左に展開すると、左WBのトルガン・アザールが駆け込み、ミドルを放つ。コースは甘くも、揺れる軌道の強烈な一撃には、名手ルイ・パトリシオもなす術はなく、ベルギーが先制点を奪った。
24本のシュートを浴びながらも無失点
後半は予想通り、ポルトガルが猛攻を仕掛けていく。再開早々にデブライネが負傷交代したこともあり、ベルギーにとっては苦しい時間が始まった。
58分にはロナウドとダローが右サイドを崩し、最後はボックス内でジョタが狙うも、ボールはバーの上へ。続いてサンチェスのクロスに、交代で投入されたジョアン・フェリックスが頭を合わせたが、GKクルトワに正面でキャッチされた。同じく途中出場のブルーノ・フェルナンデスや、ベルナルド・シウバのミドルも枠を越えていき、終盤には2つの決定機が訪れるも、CKに合わせたルベン・ディアスのパワフルなヘッドはGKクルトワが正面ではじき、直後のラファエル・ゲレイロの右足のシュートはポストを叩いた。
CR7もなんとか打開を図ろうとしたが、最後まで極限の集中力を保ったベルギー守備陣は、合計24本ものシュートを浴びながら、1点を守り切った。
「我々は素晴らしいゴールを決めたが、その後は猛攻に晒された」と試合後の会見でベルギーのロベルト・マルティネス監督は振り返った。異国で長く過ごすスペイン人指揮官は流暢な英語で記者の質問に答える。
「現在の欧州王者であり、ネーションズリーグ覇者でもある経験豊富なポルトガルに勝てた要因には、見事な集中力と規律、最高の守備が挙げられる。厳しい展開だったが、選手たちは耐え忍んでくれた。2、3年前だったら、こんな展開で勝てたかどうかはわからない」