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“なでしこのラッキーガール”塩越柚歩23歳「あっという間」に急成長→五輪メンバーに… 知られざる1年半の足跡
text by
佐藤亮太Ryota Sato
photograph byJFA/AFLO
posted2021/06/24 11:01
なでしこジャパンの東京五輪メンバー切符をつかみ取った塩越柚歩。23歳は2大会ぶり出場のチームに化学反応をもたらすか
2020年、主力へと躍り出てチームも優勝
そして2020年、塩越は開幕・千葉戦、2節・アルビレックス新潟レディース戦は途中出場も3節から最終節までの16試合に先発出場。主に4-2-3-1の左サイドを主戦場に18試合すべての試合に出場し3ゴール。堂々たる主力に躍り出た。
「やりたいポジションも森監督になり、やらせてもらい、みんなが生き生きとプレーでき、自分もサッカーを楽しいなと思えるシーズンだった。楽しむという部分が結果につながっているなと思う」
この言葉通り、塩越は充実したシーズンを過ごし、チームもリーグ優勝を遂げた。
なでしこに招集された塩越に足りなかったもの
そしてリーグ終盤の10月中旬、塩越はなでしこジャパントレーニングキャンプに初招集された。選考理由を高倉麻子監督は「止める・蹴るがしっかりしていてミスが少ない」と技術の高さを評価した。
テクニックはある。どのポジションもこなせるクレバーさもある。そんな塩越に足りなかったもの、それは自分に対する肯定感、信頼感、自信だといえる。それでも――。
19年、失意のなか、皇后杯で活躍した自信。
20年、レギュラーとしてリーグ優勝に貢献した自信。
そして初めてなでしこジャパンに招集された自信。
その1試合1試合、シーズン、そしてチーム、代表とそれぞれの段階を踏みながら、自信を培った時間が、塩越を強くしていた。
ただ、この程度の自信ならば、最終メンバーには選ばれなかったろう。塩越もその点を感じていた。
「どうしてもほかの代表メンバーに比べ、自分にはそこまでの自信はなかったです。前回の親善試合に1試合も出られず、“今回で代表を外れるかもしれない”と思っていました。ただ毎回、呼んでもらうなか、自信がついてきました」
本大会を想定した親善試合には出られないものの、毎回、招集はされる。このとき高倉監督は塩越のどの点を見ていたのか?
そのヒントはウクライナ女子代表戦後、高倉監督が語った塩越評にある。