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“なでしこのラッキーガール”塩越柚歩23歳「あっという間」に急成長→五輪メンバーに… 知られざる1年半の足跡
text by
佐藤亮太Ryota Sato
photograph byJFA/AFLO
posted2021/06/24 11:01
なでしこジャパンの東京五輪メンバー切符をつかみ取った塩越柚歩。23歳は2大会ぶり出場のチームに化学反応をもたらすか
「積極的にプレーすること、貪欲にシュートを狙ってほしいということも言っていた」
高倉監督の指す積極性とは、自信に裏打ちされたプレーを意味していると考えられる。おそらく初招集時点では、塩越が代表を背負って戦う自信を持ち合わせず、いまひとつ自分の殻を破れない印象だったかもしれない。
つまり高倉監督は塩越のプレー、特長を評価しつつ、自信の萌芽を、そして気持ちの変化をじっくり待っていたのかもしれない。それはあたかも、ほかの果実に比べ、実になるのが、倍以上の時間がかかる "柚子"のように。
「ウクライナ代表戦で自分に自信がついたのがわかりました。そうしたなかで、試合に使ってもらいたい、結果を残したいという欲がうまれてきました」と塩越。
うまいだけではない。多くのポジションをこなせるだけではない。
責任と覚悟をその身に背負ってもなお、いまの塩越は自信をもってプレーできる。そう判断したからこそ選ばれたのだ。
アカデミー時代から意識していることとは
塩越はアカデミー時代から意識し、続けていることがある。
それは「試合中、そしてピッチを離れてもボールをできるだけ多く触ること」。
「なるべくボールに関わるように指導者のかたから言われてきた。その方が自分の良さも出てくるし、どんどん触ることで自分のコンディションもあがってくる」
触って、捌いて、仕掛けて、打つ。そんな塩越の姿がオリンピックで見られれば、なでしこジャパンがさらに活性化されるはず――。
名前にある柚歩(ゆずほ)。
柚子の花言葉を調べると「健康美」「けがれなき人」そして「恋のためいき」。
塩越柚歩が見るものすべてを魅了する、そんな夏になりそうだ。