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“なでしこのラッキーガール”塩越柚歩23歳「あっという間」に急成長→五輪メンバーに… 知られざる1年半の足跡
posted2021/06/24 11:01
text by
佐藤亮太Ryota Sato
photograph by
JFA/AFLO
「こうして最終メンバーに選んでいただいて、まだまだ実感が湧かなくて……でも嬉しい気持ちで、あっという間でした」
6月18日、なでしこジャパンの東京オリンピック登録メンバー18人が発表された2時間後、初選出となった三菱重工浦和レッズレディース(以下・浦和)MF塩越柚歩(しおこし・ゆずほ)はそう語った。
その8日前、国際親善試合・ウクライナ女子代表戦で代表初出場・初スタメンながら塩越は2得点1アシストを挙げ、猛アピールを見せる。彗星のごとく現れた新星の選出に「持っている選手」「ラッキーガール」と様々なフレーズで紹介された。
塩越は埼玉県川越市出身で、今年24歳になる。2010年に浦和レッズレディースジュニアユースに加入し、浦和レッズレディースユースを経て16年に昇格した生え抜きである。
当初から基本的な技術の高さに定評があり、独特の間(ま)のあるドリブル、そして正確にコースを突くシュートを持ち味とする。さらに前線、中盤、サイドバックとどこでもこなせるユーティリティプレイヤーでもある。
冒頭にある塩越の「あっという間でした」という言葉。
これはどの時点を基準とするのか。それは2019年12月の皇后杯に遡る。そして、この1年半は塩越に足りなかったモノを培う時間となっていた。
2019年、ベンチにすら入れない時期が続いたが
19年シーズン、塩越は膝の手術のリハビリに費やし、スタメンはおろかベンチにも入れない苦しい状況が続いた。
ようやくピッチに立ったのはシーズン半ばを過ぎたリーグ10節・日体大FIELDS横浜戦(8月31日)。出場はしたものの、その後もベンチが続き、初めて先発フル出場したのがリーグ最終節のジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦(11月2日)だった。
この年、浦和はリーグ2位となったが、塩越はチームの力になれないまま、シーズンが終わろうとしていた。
このとき塩越は決意する。