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2年ぶりの大学野球選手権で評価アップ「契約金を数千万稼いだ」スターが誕生? 慶大4番・正木智也だけじゃないドラフト候補たち 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2021/06/17 17:06

2年ぶりの大学野球選手権で評価アップ「契約金を数千万稼いだ」スターが誕生? 慶大4番・正木智也だけじゃないドラフト候補たち<Number Web> photograph by Yu Takagi

34年ぶり4回目の優勝を達成した慶應大。勝利の瞬間、マウンドに歓喜の輪が広がった

 実績を積み重ねた正木に対して、驚きを与えた選手もいた。

 今大会で一躍その名を轟かせた上武大・ブライト健太だ。初戦の西日本工業大戦でドラフト候補左腕の隅田知一郎(ちひろ)から先制本塁打を放つと、2回戦の桜美林大戦では4打数3安打で同点タイムリーも放った。さらに準々決勝の東農大北海道オホーツク戦ではレフトスタンド上段に叩き込むプロ顔負けの特大弾。

 昨年まではレギュラーでさえなかった男の急成長を目にし、あるスカウトは「育成ドラフトで狙おうかと思っていたけど、これは(支配下ドラフト)上位もあるね」と複雑な表情で苦笑いするほどだった。

 さらに、敗れた準決勝の慶應義塾大戦では8回に一時同点となるタイムリーに加え、センター後方の打球もフェンスを恐れずにダイビングキャッチ。チーム関係者は「打撃は“自分の間”で打てるようになったし、守備でも打球に対しての勘とバネのある走力でどんな打球も捕れる」と目を細める。

 同点タイムリーの後に痛い牽制死はあったが、経験とともにそうした勝負の綾を掴めるようになれば、怖いものなしの存在になれそうだ。秋季リーグでも変わらず活躍できれば、正木同様にドラフト上位指名もあるだろう。

西日本工大・隅田にも高評価

 そのブライトの一発に泣いた西日本工大の左腕・隅田も、上武大戦では8回4安打1失点14奪三振と素晴らしい投球を見せた。

 上武大がその後の3試合で21得点を挙げたことを考えれば、そんな強力打線をほぼ完璧に抑えた、という評価もできる。その日は最速147キロのストレートにチェンジアップ、大学選手権まで一時封印していたスライダーやスプリットも解禁し、制球とキレ良く冴え渡っていた。

 ある担当スカウトの1人は「場合によっては3位か4位くらいで取れたらと考えていた人もいるだろうけど、これで上位。(上位なだけに)我々の責任も増すね」と、より身を引き締めていた。上位指名となれば当然、入団時の契約金も上がるので「隅田はこの試合で数千万円を稼いだ」と語るスカウトもいた。

【次ページ】 「昨年の4年生のためにも」

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