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“雑草集団”はなぜ強くなった? 全国準V・福井工大の大躍進…下野監督「辞める理由じゃなくて、続ける理由を探そう」
posted2021/06/15 11:00
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
遅咲きの花たちが次々と咲いた。
6月7日から開催されていた全日本大学野球選手権で、福井工業大学は創部史上初の準優勝を果たした。
所属する北陸大学野球連盟としても過去最高成績。高校時代は無名だった選手や、甲子園に出場していても控えだった選手が多い雑草集団が日本一を争う舞台まで駆け上がった。
4年生のうち、卒業以降も硬式野球を続けることが決まっているのは現時点で投手の谷優希のみ。そんなチームが決勝戦の舞台で大学野球の華・東京六大学野球連盟所属の慶應義塾大に立ち向かった。
準決勝までに登録選手全員を起用し、さらに大会直前の登録変更でメンバー入りした4年生の木村哲汰が大会記録にあと1本に迫る11安打を放つなど、大会を通して高いチーム力が目立った。
泥だらけのユニフォームから湯気
JR福井駅から約8キロの永平寺町に福井工大のグラウンドはある。
選手たちは福井市内にある寮やキャンパスからチームバスで何便にも分かれてやって来る。正直言って「田舎も田舎」で、野球に打ち込むしかない立地だ。
だが、その覚悟を持って入学してきた選手たちだ。誰もが「上手くなりたい!」という情熱を持って練習に励んでおり、あちらこちらで選手の泥だらけのユニフォームから湯気が立っていたのが今も心に強く残っている。