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一時「心停止」のエリクセンにインテルやミラン勢もエール… ルカク「アイラブユー!」、“負けても10点満点で9点”キアルの男気とは
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/06/14 17:20
インテルでのエリクセンとルカク。キアルらも彼の回復を祈っている
インテルのSNSチャットに「俺は大丈夫」
所属するインテルからは、張会長や退任したばかりの前監督アントニオ・コンテを始め、アルゼンチン代表FWラウタロ・マルティネスにモロッコ代表MFアクラフ・ハキミ、イタリア代表MFニコロ・バレッラらチームメイトたちが次々にSNSで激励メッセージを投稿した。
12日深夜にイタリアSKYの電話インタビューに応じたジュゼッペ・マロッタCEOが明かしたところによれば、チームで共有するSNSチャットグループに、意識の回復したエリクセン本人から「俺は大丈夫。早く戻りたいよ」とメッセージが届き、一同胸を撫で下ろしたという。
デンマーク代表で背番号10を背負うエリクセンには、セリエAの歴代"10番"たちからのエールも届けられた。
「フォルツァ(頑張れ)、クリスティアン!」(アレッサンドロ・デル・ピエロ)
「10番を背負う選手は諦めたら駄目だ。フォルツァ、クリスティアン! 俺たち皆がおまえのそばにいる」(フランチェスコ・トッティ)
イタリアには、現代サッカー史に残る古い心停止事故の苦い記憶がある。1989年12月30日のボローニャ対ローマ戦がそれだ。
試合中に心臓機能が停止したローマDFリオネッロ・マンフレドニアは、42時間の昏睡状態の後、覚醒したが二度とユニフォームを着る許可は得られなかった。
選手に対するイタリアの医療検査は厳格なことで知られており、インテルのメディカルチームは「まったく予兆はなかった」と驚きを隠せない。デンマーク代表との連携を保ちながら、今後の原因究明が待たれるところだ。
不遇をかこったインテルでやってきた転機
20年1月のインテル入団以来、エリクセンは苦しんできた。
指揮官コンテたっての希望で獲得されたはずが、チームに戦力が有り余るせいか戦術も起用法も定まらず、出場機会はろくに与えられなかった。長年親しんだイングランドとのプレースタイルの違いに戸惑い、イタリア語習得にも苦労した(※のちに「あまり勉強に熱心じゃなかった」と本人が白状している)。
転機は今年1月26日、宿敵ミランとのコッパ・イタリア準々決勝だった。