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一時「心停止」のエリクセンにインテルやミラン勢もエール… ルカク「アイラブユー!」、“負けても10点満点で9点”キアルの男気とは
posted2021/06/14 17:20
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
「今の俺が“生まれ変わったエリクセン”なのか、それとも“これまでと同じエリクセン”なのか。それは俺にもわからない。でも、以前よりプレー時間が増えているのは確かだし、嬉しいことだ」
2021年3月、クリスティアン・エリクセンは、イタリア紙のインタビューの中で晴れやかに語っていた。所属するインテルの中心選手として、初めてのセリエA優勝に向け邁進していた頃だ。
EURO2020大会2日目の6月12日、デンマーク対フィンランドの前半43分、デンマーク代表MFエリクセンの心臓は突然止まった。
力なくグラウンドへ倒れ込んだ彼にすぐさま駆け寄り、MFヨアキム・メーレとともに舌を引き出して気道を確保したのは代表主将シモン・キアルだ。代表メディカルチームの緊急処置と迅速な病院搬送が功を奏し、エリクセンは幸い一命をとりとめた。
サッカー界は一丸となって激励を寄せている
図らずもライブ中継された心停止発作と救命作業が与えた衝撃は大きく、サッカー界は一丸となってエリクセンへ激励を寄せている。
「クリスティアン、アイラブユー!」
コペンハーゲンから1500km離れたサンクトペテルブルクでは、2ゴールを決めたベルギー代表FWロメル・ルカクが、TVカメラへ向かって大声で訴えた。「I love you」は、恋する相手でなくても感極まったときに使われることがある。
ロシアとの試合には3-0で快勝したが、試合後会見での顔色は真っ青だった。
「試合前に発作のことを知って、自分も仲間も多くの涙をこぼした。試合に集中するのにとても苦労した。この1年、俺は自分の家族といるより、多くの時間をクリスティアンとともに過ごしてきたから」
インテルの同僚であるルカクは、エリクセンから北欧仕込みの丁寧なアシストパスを何本も受けてきた。
アヤックスやトッテナム時代にエリクセンの仲間だったDFヤン・フェルトンゲンやDFトビー・アルデルベイレルトといったベルギー代表のチームメイトを代弁して、戦友の一刻も早い回復を願った。デンマークと大会同組のベルギーには、17日木曜にコペンハーゲンでの第2戦が控えている。